機械が故障したら「修理」をします。故障しないように(又は性能を維持するために)行うのが「調整」。部品交換よりも、高級な作業と言えます。
キャリブレーションを行って、ビルドプレートとホットエンドのクリアランスを維持しましょう。
*M200のフレームは途方もなく頑丈で、1年程度はキャリブレーション無しで使えると思います。
*2017年4月(Z-Firmware_V1.1.0以降を適用)、電源投入時に小コネクターが接触不良だと、エラーメッセージと警報音を出して、動かないようになりました。(大きな進歩)
*以前は、ビルドプレートがノズルとタッチしたのを検知できずに、オーバーラン(突撃)してしまう事故がありました。
ビルドプレートは、スプリングの上に乗っていて、ナットのような「ノブ」を緩めると(スプリングが伸びて)プレートが上がる構造になっています。
*この機構はスプリングが完全に潰れてストロークしなくなると成立しません。→スプリングが、「伸縮できる」事が必要です。
調整ノブの上の平面部分がビルドプレートにタッチした跡が丸く擦れていました。
穴あきプレートの下にプラスチックのカスが溜まり、中央部が(タヌキの腹のように?)出っぱってきます。定規を当てて、スキマが見えなければ合格。
スキマが見えたら、「ビルドプレートのメンテナンス」を行なってください。(作業時間約30分)
zortrax.comの「サポートセンター」にPlatform Installationのページがあります。
3 Platform Calibration の動画を見てください。オートキャリブレーションに入る手順が見られます。
*ファームウエアのバージョンは、1.1.1です。
メニューの「メンテナンス」(ボタン)→「オートキャリブレーション」(ボタン)
ホットエンドの加熱が終了すると、手袋着用の警告が出ますが、ホットエンドに触らなければ大丈夫です。
*私は使いません。(ボタン)
*ビルドプレートも(約80℃)熱いので注意。
*メーカーHPの動画はここまで。
上から見て、ナットのようなノブを反時計回りに回して下げろと言っていますが、 ネジの先端が1.5mm出ているくらいが良さそうです。(ボタン)
*基本「too low」と言ってくるのでビルドプレートを下げた状態からスタートします。
*「clockwise」(時計回り)は上から見ての話です!。(ノブの配置を見れば当然?)
私のM200は右奥の動きがスムーズでないです。ネジを回す方向は合っているので、OKになるまでしつこく繰り返します。
*右奥を上げる事により、左奥が影響を受けて下がってしまう事もありました。
*「about 1.00 turn」(約1回転)とかの情報は当てにならない感じでした。→M200plusは改良されていると期待しています。
ノブを回してもビルドプレートがうまく上下しない時は、ネジがノブと一緒に共回り(ともまわり=回って欲しくない部分が一緒に回ってしまう困った状況)しています。 → ビルドプレートを外して、ネジの頭を対辺2mmの6角レンチ(ビルドプレートメンテナンスと同じ)で押さえてノブを回します。
*この方法ならば、 0.75回転(270度)とか1回転(360度)の指示通りになると思います。
*ビルドプレートは約80℃なので、耐熱手袋を使用してください。
許容範囲に入るとこのような画面になります。念のため(ネジに触らずに)もう一回実行したらこんな感じ。±0.4㎜未満であればOKなようです。
*0.3が出ると0.5回転調整したくなりますが、左のデータは調整不可能なので、最初からオートキャリブレーション(サイコロの振り直し)します。
*0.2以下なら上々。右のデータは調整不要です。
*ヒマな時は手前を1/4回転(90度)調整します
*温度の上下により多少ずれるのは仕方ありません。
*電源スイッチを切って終了。
オートキャリブレーションを数回行うと、正体が見えてきます。
まず、奥側2点のクリアランスを合わせ、それに手前側のクリアランスを合わせるという流れです。
昔の人?は、名刺(厚さ約0.2mm)をゲージ代わりにしてキャリブレーションをしたそうです。
*ビルドプレートの上5ヵ所でノズルとのクリアランスが揃っていればOK。
意外と簡単で、オートキャリブレーションより正確?な調整が可能です。
オートキャリブレーションの結果
-0.1 0.0
0.0
-0.2 0.0
左と手前が少し下がっています。これをメモしておきます。
0.43mm→1回転(360度)なので、0.1mm上げるにはノブを「上から見て時計回りに90度」=ノブ(ナット)を緩める方向
*(ビルドプレートを外して、6角レンチでネジの頭を押さえる)90度ずつ回すのが分かりやすい手順です。
使い捨て手袋、シックネスゲージ(1mm以上の物がお勧めです)
*100円ショップで売っていたPP(ポリプロピレン)シートを使用中。
*ネジが共回りしている場合は、対辺2mmの6角レンチも必要。
メニューの「メンテナンス」(ボタン)→「ムーブプラットホーム」でプラットホームをノズルの下10mmくらいで止めます。
電源を切ります。
電源を切ればホットエンドを自由に動かせます。一番高い場所(中央)にシックネスゲージ?を置いて、使い捨て手袋を使ってZ軸のボールスクリューをグリグリ回します。シックネスゲージがノズルとビルドプレートの間に挟まって、動かしにくい感じの場所で止めます。(この、挟まって動かしにくい「フリクション」を記憶します。)
→ホットエンドを動かしながら右奥と左奥のクリアランスを同じにします。
*厚さが1mm以上のゲージを使うと、ノズルとビルドプレートが干渉する可能性が低くなります。
*今回の場合、マイナスになっている左奥だけを動かして右奥に合わせます。
*逆でも構いませんが、「0」になっている所に合わせるのが自然?。
使っているうちに、手前側が少しずつ「おじぎ」をしてくるのは自然な傾向です。
手前のキャリブレーションノブを「上から見て時計回りに180度」緩める方向に回します。シックネスゲージを使って微調整を行います。
最後に5カ所のクリアランスの「感じ」が揃っていれば終了です。
*フリクション(摩擦)を「手ごたえ」で感じ取る伝統的な?作業方法です。
これでキャリブレーション完成!なのですが、ビルドプレートが冷めています。オートキャリブレーションをもう一度実行しましょう。
常温で行う手作業のキャリブレーションよりも、運転状態で行うオートキャリブレーションを優先させるべきです。
*似たような作業結果のどちらを採用するか?
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