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一般路面での車いすの乗り心地はあまりよくありません.より率直に表現すれば,非常に悪いです.その理由の一つは,路面の傾斜により前後左右に傾くこと,もう一つは路面の微小な凹凸が原因の衝撃です.これは頭まで響きます.
前後左右の傾きを動的に修正することは,動力を持ったメカニズムが必要となることは容易に想像が付きますが,微小な衝撃は前輪に衝撃吸収機能を持たせることにより軽減できます.前輪を硬質ゴムの車輪から,空気入りタイヤに交換することで劇的に改善できます.このことを,あまりデータの裏付けがあるとは言えませんが,「選び方・使い方編」の下記2章で述べています.
空気入りタイヤが当面衝撃吸収性能の目標です.しかし,空気入りタイヤにはいくつかの使いにくさがあり(上記3-9-1参照),標準装備にはなっていません.空気入りタイヤと同等の衝撃吸収性能を有し,それが有する欠点を改善したタイヤが開発されることが望まれています.
もし衝撃吸収機能を有し,現在の空気入りタイヤより扱いやすい車輪が開発されたならば,車いす用途だけでなく,荷物運搬用の台車から始まり,車輪を必要とする機器全般に恩恵を及ぼすことができます.そのような車輪では,振動を防ぐだけでなく,周囲にまき散らす騒音,つまり走行音の軽減も期待できます.
耐摩耗性が問題となることもあると思いますが,乳母車や旅行用鞄などのように,耐久性を期待しなくともよい用途もあります.衝撃吸収性能と,耐久性,取り扱いのしやすさなどのバランスをどうとるかが課題となるでしょうが,これらを解決し車いすの乗り心地の改善に寄与していただければと思います.
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