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下に電動車いすと電動四輪車を示します.
電動四輪車 |
電動車いす |
上の二つは法律や規則では同じ電動車いすとされています.同じものとしているのはあくまでも「見なし」です.機械としては全く別物で,本ホームページでは両者は別物として説明しています.
電動三・四輪車は両手で操作するハンドルで進行方向をコントロールします.一方,電動車いすは,片手の指先などでジョイステックと呼ばれる棒を操作し,左右の後輪の回転速度の差で方向をコントロールします.両輪を逆回転にしてその場回転することもできます.このように,機構や操作法に決定的な差があり,それに伴い選択法も異なります.
使用できる人の身体状況,走行特性,使用環境などに差がありますので,選択する際にはどちらがより適しているかをよく考える必要があるます.
道路交通法では,車いすを歩行者と見なすと明文化しています.最初に明文化した時点で想定していたのは手動の車いすですが,その後,電動車いすや高齢者用として電動三・四輪車が出現し,それらも歩行者と見なすという解釈がなされました.また,電動三・四輪車は,一部の下肢障害者に電動車いすとして処方されるようにもなりました.
下肢障害者や高齢者が電動車いすを使用する根拠となる法律は障害者福祉法と介護保険法ですが,これらでも,電動三・四輪車を電動車いすの一種と見なしています.具体的には,「JIS-T9203(筆者注:電動車いすについて規定している日本工業規格)による電動車いす」と規定しています.
JIS-T9203では電動車いすの分類も行っており,その中でハンドル型電動車いすとして電動三・四輪車を規定しています.
電動車いすと同じと見なされることは電動三・四輪車の使用環境を整える上で好ましいのですが,機械として同じものと見なしますと不都合が生じます.
不都合が生ずる原因は,方向転換のメカニズムが全く異なることにあります.電動三・四輪車が回転するときは,下の左側の図のように,回転中心が車体の外にありますが,電動車いすは中央および右側の図のように,車体の中にあるその場回転が可能です.つまり,回転半径が遙かに小さくなる点が異なります.
下の右側2枚の写真は手動車いすですが,回転のメカニズムについては電動も手動も同一です.
上の図は,「選び方・使い方」編の電動三・四輪車および車いすについて述べている章で掲載しています.詳細はそちらを参照してください.
電動車いすと電動三・四輪車が構造上異なる点は,介助者が持ち上げるための対策がしてあるかどうかにもあります.電動車いすには持ち上げるための取っ手が取り付けられていますが,電動三・四輪車にはありません.
乗り越えられない段差などに出会ったとき,電動車いすの場合,使用者の体重と合わせ総重量が百数十kgになるにしましても,人力で持ち上げて乗り越えることができるよう対策が取られています.電動三・四輪車では持ち上げようがありません.この点も使用する上で大きく異なります.
電動車いすを選択するか,電動三・四輪車を選択するかは,法律などでは同じものと見なされるにしましても,活動可能な範囲が異なるという現実がありますので,よく考える必要があります.
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