3-9-2 衝撃の比較
ここでは,ソリッドタイヤと空気入りタイヤの違いをデータでお示しします.
下の図は高さ8 mm,幅100 mmの段差を約3 km/hの速度で乗り越えたときの衝撃の大きさを示しています.横軸は時間で,縦軸は加速度で衝撃の大きさを示します.短時間に大きく変化している方が衝撃が大きいことを示しています.下の2枚のグラフでは,プラス側の最大値で約3倍の差がありますが,体感的にはもっと差は大きく感じます.
衝撃の大きさは,前輪と後輪の荷重配分の影響も受けます.前輪の配分が多ければ多いほど前輪のタイヤの種類の影響を受けることになります.下の図は自走・介助兼用標準型車いすで得たものです.この車いすは安定性を重視していますので,前輪と後輪の重量配分は約4:6でした.重心位置が後輪に近づけば,同じソリッドタイヤを使用しても衝撃は小さくなります.
下の図は1つの段差を乗り越えたときのものですが,実際の道路ではこれが連続することになります.また,速度が速くなればなるほど振動も大きくなります.前のページと同じことを繰り返しますが,是非一度路面の凹凸の影響を体感してください.そして,できましたら何らかの対策をしてあるタイヤを選択してください.
★上に示しました2枚のグラフは,東京都福祉機器総合センター(2002年3月廃止)において,橋詰 努氏(当時東京都福祉機器総合センター),森 武志氏(当時東京電機大学卒論生)の二人と共同で得た測定値を元に作成したものです.