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屋内移動には同一階の水平移動だけでなく,1階と2階の間の移動など垂直移動も伴います.
階の移動はエレベータが最も安全です.技術的には階の移動問題は解決されていると言えますが,価格の問題を始め容易には導入できません.ここでは経済的な問題には触れません.技術的にどうか,という観点から私見を述べていきます.
エレベータの設置は,最初から設計に織り込んでおきませんと,なかなか難しいことがあります.家の強度に不可欠な梁や柱にかからないよう設置ができるかどうかは,専門家に確認してもらう必要があります.
屋内に設置できない場合,エレベータを収納するタワーを屋外に設置することも一つの方法です.
ホームエレベータは一人乗り用から3人乗り用まであります.車いすで使用することを考慮しますと,介助者と一緒に乗れるよう3人乗りがお勧めです.その一方,車いすが乗れるぎりぎりのサイズに小型化して設置場所の制限を減らすことと,低価格化をねらった製品もあります.最初は一人用で,いずれは3人用と安易に変更できる機器ではありませんので,現在の身体状況がどの程度続くかの見通しも判断には必要です.
エレベータでは,設置などの導入経費だけでなく,維持費も継続してかかります.定期点検が義務づけられます.また,非常時に即応して修理や点検を受けられる保守管理の契約を結んでおく必要があります.この維持費を最初に確認しておく必要があります.
簡易型エレベータといえるものに,段差解消機を2から3階まで延長した機器があります.エレベータに比べますと低価格で,狭いスペースに設置できます.安全基準は特にありません.どのような機器か具体的にイメージしにくいと思いますが,写真を持っておりませんので,メーカーのページへリンクしますので参照して下さい(別ウインドウで開きます).介助者と同乗できる機器ではありませんので,適応できる人はエレベータに比べ限定されます.
2階と行き来しなければならず,かつエレベータの設置が困難な場合には,優先順位的にはエレベータであることを承知した上で,導入を検討して下さい.
更にスペース的な制約がある場合は,階段の天井にレールを固定した車いす用の階段昇降機があります.ただし,個人住宅の狭い折り返し階段には設置が困難です.レールを天井や壁面に固定しない,自走式の車いす用階段昇降機もありますが,取り回しのスペースが必要になります.曲がり階段に対応できる機種とできない機種があります.
左の写真のように,階段の壁面や床にレールを固定し,座席が昇降するいす式階段昇降機があります.この機器は,平地は歩けるが階段の上りがつらくなった人には向いていますが,車いす使用者には向いていません.ただし,車いすから乗り移りが可能で,比較的小さいいすに座っていられる人ならば使用できます.そして,1階と2階の両方に車いすを用意しておくか,介助者が車いすを持って上り下りできることも必要です.一般的には車いすと組み合わせて使用することは困難と考えた方が無難です.メーカーが展示場を有していますので,可能性を確認するために訪れて試すことをお勧めします.
車いす使用者が2階へ移動する動線を確保することは,エレベータを除きますと制約があります.最初に述べましたように,技術的にはエレベータで解決していますが,導入には様々な制約あります.エレベータに代わる機器もありますが,これらも設置できないときは1階で生活空間を確保するか,お勧めできませんが,人力での移動となります.
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