『鉄道コレクション (以下『鉄コレ』) 』は、トミーテックが発売しているNゲージサイズのディスプレイモデルです。 通常品は中身の見えない「ブラインドパッケージ」という販売形態を採っており、名前の通りコレクションの用途が強そうですが、別売りのパーツを使うことでNゲージとして走らせることができるという特徴があり、2014年5月現在で通常品は第19弾を数えます。 製品のラインナップは、中小私鉄の旧型車両から始まり、弾数を重ねるにつれ大手私鉄の旧型車や旧型国電とその系統の私鉄車両、大手私鉄から中小私鉄に譲渡された車両など幅広くなり、さらにオープンパッケージでの販売形態や「事業者特注品」として国鉄・JRや大手私鉄の高性能車や地下鉄車両なども製品化され、イベントでの目玉商品となるなど、近年特に高級化・精密化する正統派Nゲージとは別の枝葉を伸ばしている感もあります。
それまでは、大手・中小問わず私鉄の車両というとキットで製品化されれば御の字で、大手私鉄の特急車がやっと大手メーカーから完成品として製品化されるだけに過ぎませんでした。 従って中小私鉄の、特に旧型車両に使える市販パーツも、限られた形式のものがごく少量、狭い範囲で流通しているだけで、入手は簡単ではありませんでした。 特に床下機器や弓形イコライザー台車などはほぼ皆無といっていいような状況の中で、鉄コレによって中小私鉄の旧型車両が完成品に近い形で製品化され、加えて比較的コンスタントにことでん車両が製品化されるようになりました。 さらに当初は1両400円〜600円というお手頃さもあって、私にとっては魅力で目が離せない企画でした。
ここでは、そんな『鉄コレ』で製品化されたことでんの車両を眺めてみようと思います。 |
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![]() 73・81は南武鉄道 (現.JR南武線) 出身で国鉄に買収後東濃鉄道 (岐阜県にあった民鉄で、現在はバス会社として営業中) を経てことでん入りした経歴をもち、同形車が国鉄から熊本電鉄や総武流山電鉄にも譲渡されていたこともあってそのカラーバリエーションとしてラインナップに組み込まれたようですが、他に同形車がおらずにつぶしの利かないはずの62 (前面貫通バージョン) が含まれていたのには驚きました。 さらにシークレットとして62の前面非貫通バージョンが選ばれたことには、衝撃を受けたものです。 私が高松に初めて行ったきっかけとなったのが62のさよなら運転だったので、これにはかなり熱くなりました。 当然大本命は62の貫通ということになり、最初に確実性を考えて10個入りパックを2つ買いましたが、どちらもシークレットに押し出されて手に入れられず、その後「おみくじ買い」を何度か繰り返してやっと手に入れた、という思い出もあります。
造形は、62の妻面のRが大きいような気がするのと73・81の細部が一部異なるらしい (最大公約数的処理?) ものの、全体的にはシャープで非常に良いです。 しかし全体的に塗装の出来栄えが悪く、具体的には「塗りが薄い」「前面と側面の塗り分け線が合っていない」「修正痕や埃の混入が目立つ」・・・ といったところで、某
巨大掲示板ではもっとひどい例が挙げられるなど話題になっていました。 また62に関しては銘板と検査の標記位置が違っており (銘板の凸モールド位置は合っている) 、Nゲージ化する際には塗装のやり直しが必須かな、と思っています。 |
![]() この1020形は単なる名鉄の色替えではなく、高運転台車が入った1031+1032の編成がモデルとなっているのがポイントで、それ故名鉄の高運転台車を所望する向きからの人気も高かったようです。
私は、この鉄コレの発売開始時点で既に別メーカーより名鉄車として発売された素材を2編成4両分所有していたので、一応買いましたが純粋なコレクションになりそうです。
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造形はさすがトミーテックといったところで、車体裾のRも再現されていますが、雨樋の位置が高くなっています。 |
![]() 実車は2両で1組になるにもかかわらず製品は1両単位で売られているため、「おみくじ買い」で揃えるには難易度が高いです。
車体の出来は良好ですが、妻面と側面の接合部分にスジが浮き出ていて、特に前面おでこ横の部分でそれがちょっと気になります。 塗装の出来は非常に良く、『ことでん』ロゴも側面のものはやや色が薄めで文字間隔が若干開いているようですが、美しく決まってます。
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車体の印象把握や造形はさすがトミーテックといったところで、窓ガラスのモールドも繊細で、車体へのはめ込み具合も良いようです。 クーラーも屋根板に接着されているものの別パーツになっています。 しかしサッシ部分に銀色が乗っていない個所がある反面ガラス部分に銀色がはみ出したり、ガラス部分に銀色の粒子が飛んだのかちょっと汚くなっている個体もありました。 それらは今に始まったことではなく、その点ではやはり『鉄コレ品質』ですね。
前面や側面の行先表示窓部分には『琴電琴平』の文字が入っています。 前面についてはHゴムのモールドの関係でか隅が欠けている個体も見られますが、何と書いてあるのか読めるのはさすがです。 行先が選べない欠点はあるものの、相模鉄道の事業者特注品で経験したようなシールの質が悪いことに比べれば全く問題がなく、むしろディスプレイモデルとしてはこれで正解かと思います。
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第8弾の723+724のバリエーションと考えられ、おそらくそれの金型を利用したのでしょう、723+724と同様極めてシャープに出来上がっています。 前面形状を変えるのに合わせてか、723+724に見られて気になっていた「側面と妻面の接合部分のスジ」が消されているのはさすがです。
塗装は『長尾線色』となっていますが、側面ドアのステップが無く銀色のクツズリが再現されています。 実車の塗装変更はステップ取り付けより先行していましたが、601+602の塗装変更はそれほど早かったわけではないので、この組み合わせが見られたのは短い期間だったのではないかと思われます (あるいは見られなかった? この編成がいつ姿を変えたのかは未確認) 。 なお、これで各線の路線別塗装車が揃ったことになります。 |
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120 (画像右) はファンタゴンレッド時代のもので、実車がそうだったように車体腰板のリベットがほとんどありません。 第2弾の62と連結させることで、長尾線を再現して楽しめます。
ファンタゴンレッド・クリームともに色味は過去のものよりもっとも正確かと思われます。 各モールドもシャープでとても良いです。 あえて重箱の隅をつつくとすれば、各車とも側面下のステップが長尾線車両大型化に対応した大きなものを再現しており、走らせればまず気付かれない程度のものですが、厳密には300以外は考証のエラーになってしまっているのが惜しいところです (もともとステップは付いていたが、長尾線車両大型化対応時に長尾線車に限って交換され、それ以前のものはステップ下の車体側面台枠部分に部材が見えていない) 。 |
![]() 今回は、クリームとファンタゴンレッドのツートンカラーである『旧塗装車』 (画像左) と、クリームとイエローのツートンカラーである『新塗装車』 (画像右) の2種類が同時に発売されました。 車号は、旧塗装車が1089+1090、新塗装車が1083+1084です。
簡単に眺めてみますと・・・ 京急1000形の鉄コレを保有していないのでそれと比べることはできないのですが、前面や妻面のおでこからこめかみ部分にかけてパーティングラインがガッツリ現れていて、そこが淡い色ということもあって非常に目立っているのが残念なところです。 また、クーラーをランナーからもいだのかゲート部分が少し欠けているものがあるなど、相変わらずバラツキが見られます。
もう少し詳しいレビューのようなものや写真は、こちらのブログ記事に載せていますので、併せてご覧頂ければ幸いです。
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基本的な設計は第5弾の1060形に準じているようで、それを強く感じさせるのが『屋根上のベンチレーター』でしょうか。 ごくあっさりしたモールドのものが屋根板と一体で成型されていて、2013年の新製品の割にはチープに映り残念なところです。 とは言え、ヘッドライトが1060形の塗装表現からクリアパーツによるレンズが入れられているなど、近年の鉄コレの標準に合わせているところもあります。 車体の色合いは1080形旧塗装車のそれに近く、クリーム色が緑がかっていて血色が良くありません。 塗り分け線のインレタ? も、相変わらず目立つ個体が多いようです。 また、車体の番号が何故か茶色で印刷されています。 1060形では省略された前面行先表示板は、黄緑色地に白文字の『高松築港行』が車体に印刷されています。 行先板の左右と下の縁に銀色が差されているので、1990年代以降の差し込み式に改められた姿を再現していることになります。 動力台車用のレリーフとともに行先表示板を収録したステッカーも付属していますが、5種類収録されているものの「普通に」使えるのが黄緑色地に白文字の『一宮行』だけで、あとはイレギュラーな組み合わせのものとなってしまっているのは、何か意図するところがあったのでしょうか。
もう少し詳しいレビューのようなものや製品写真はこちらのブログ記事に、実車のちょっとした資料のような写真はこちらのページに、それぞれ載せてあります。併せてご覧頂けると幸いです。
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![]() 2014年4月26日に、鉄コレ『2両セット』で発売されたもので、要領としては1080形のケースと同様、実車の前身の車両 (京浜急行電鉄700形) のバリエーションと見ることができるでしょう。 今回は、『琴平線色』『長尾線色』の2種類が同時に発売されました。
造形は、例によって「鉄コレらしく」そつなくこなしているというか、安心して見ていられるというか、特に多くを語るようなところはありません。 ネコ・パブリッシングの1200形『ひやく号』では屋根上機器が撤去された痕跡が残ったモールドが何故か再現されているのですが、鉄コレでは妻板上部で配管が車体に潜り込む部分だけ残った痕跡が再現されているなど、正確です。
もう少し詳しいレビューのようなものや製品写真はこちらのブログ記事に、実車のちょっとした資料のような写真はこちらのページに、それぞれ載せてあります。併せてご覧頂けると幸いです。
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本製品は2016年6月に発売となった“レトロ電車2両セット”で、茶色一色となった3000形300と、茶色とクリーム色のツートンカラーとなった1000形120がセットとなっています。
もうちょっと詳しいレビューのような記事は、こちらのブログに載せてありますので、併せてご覧頂ければ幸いです。
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![]() 2017年6月23日に発売されたもので、車番は621+622です。 名古屋市営地下鉄当時、東山線に所属していた車両の改造車をモデルとしていて、2010年9月に『第12弾』で発売された、601+602のカラーバリエーションということになります。
とはいえ、単なる色替えだけでは留まらないのが鉄道コレクションで、601+602と異なる点として『前面ライトレンズのクリアパーツ化』『621前面台枠部分にジャンパ栓受けの再現』が挙げられます。 気になる塗装は、クリーム色が濃く軽微ながらも吹き込みが多いなど、ボディの設計の良さを自らダメにしているという不可解さが今回も現れています。
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![]() 2017年現在実車は4両が残っていて、同年5月に行われた“還暦記念運行”を再現できるように4両セットにしたようですが、製品形態としては『2両セット2組入』のようになっています。 全体的なディテールは悪くないものの、塗装はやはり良くないです。 何だか、時期が下るにつれて、ボディが薄汚れていくような・・・? それでいて、2両セットでも十分成り立つにもかかわらずわざわざ4両セットとして売り出し、簡単に売り上げを増やそうとする姿勢のようなものがどうにも目についてしまい、悪い印象が勝ってきます。
もうちょっと詳しいレビューのような記事はこちらのブログに、実車のちょっとした資料のような写真はこちらのページに、それぞれ載せてありますので、併せてご覧頂ければ幸いです。
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