高松琴平電気鉄道@エムサ菌総合研究所
形式別写真・ 1200形

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 京浜急行電鉄700形を譲り受けた車両です。

 京急700形は都営地下鉄浅草線に乗り入れない車両として1967〜1971年に製造され、高い 経済性を目的にMT編成を前提として150kwと高出力の主電動機を、普通列車の表定速度向上を 目的に18m級でありながら片側4つドア車体を、それぞれ採用しています。
 全車が更新修繕を伴う冷房化工事を受け、本線普通列車や大師線を中心に、朝ラッシュ最混雑 時間帯の本線通勤快特列車での12両編成運転にも就いていましたが、1998年3月より廃車が始まり、 2005年11月までに全車が引退しました。

 ことでんでは琴平線に残っていた非冷房車の置き換えと完全冷房化を図るため、2002年以降に 廃車となった車両から先頭車のみを譲受、京急ファインテック久里浜事業所で改造を行った上で 2003年に1200形として登場させました。
 ことでん入りに当たっての主な改造個所は、下記のとおりです。
  (1) 編成両数の4両→2両化
  (2) 編成両端の台車の主電動機撤去
  (3) 浦賀向き先頭車 (Muc車、奇数番号車) について、 パンタグラフと既存の床下機器を撤去し補機を搭載
  (4) 各制御回線・ブレーキ装置・ATS他各装置類のことでん仕様への変更
  (5) ことでんでの偶数車乗務員室助手席側背後に車椅子スペースの設置
  (6) 側面種別表示の開口部埋め込みとサボ受けの撤去

 種車には製造時期やメーカーによって側面窓や床下の抵抗器などに差異が見られましたが、 これらを統一するようなことはされておらず、また京急での廃車が製造順ではなかったため、 ことでんには各タイプが集結しています。
 琴平線に2両編成8本・16両が投入され非冷房車を一掃したのに続き、長尾線初の大型車として2両 編成3本・6両が導入されました。 2011年2月に琴平線の1本・2両が長尾線に異動しましたが、 計22両が主力として活躍しています。

1200形 編成・車号対照表  (2011年12月現在)
車号(下段カッコ内は旧車号)
(←琴電琴平・長尾)
竣工記事
1201
(706)
1202
(705)
2003.3.10琴平線所属 『ことちゃんこんぴら号』
1203
(728)
1204
(727)
2003.3.琴平線所属 『ことちゃんひやく号』
1205
(732)
1206
(731)
2003.3.18琴平線所属 『しあわせさん。こんぴらさん。』
1207
(734)
1208
(733)
2004.10.24琴平線所属 (『四電エナジーサービス』広告車)
1209
(738)
1210
(737)
2004.10.24琴平線所属 (『ヴィスポことひら』広告車)
1211
(702)
1212
(701)
2005.7.6琴平線所属
1213
(704)
1214
(703)
2005.7.7琴平線所属 (『ユニバーサルホーム』広告車)
1215
(724)
1216
(723)
2005.8.3長尾線所属 (2011.2. 琴平線より転属)  『全労済』広告車
1251
(736)
1252
(735)
2006.7.長尾線所属
1253
(742)
1254
(741)
2006.7.長尾線所属
1255
(740)
1256
(739)
2006.12長尾線所属
記事欄の括弧内は2010年8月現在の状況で、現況は未確認。

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ご案内
 資料としてはとても完全なものではありませんが、鉄道模型製作等の参考としても、 どうぞご活用ください。

 車両の側面写真の向きは、
    琴電琴平行き列車を基準として 進行方向右側面/左側面
とします。

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2005.6.26 三条

 京急時代では考えられなかったであろう「スプリングポイント」を渡って、三条駅に進入する 1208+1207です。
 1200形では、1080形とは異なり側面の種別表示を使用していないため、開口部は埋め込まれて います。 前面の列車種別・運行番号表示は種別部分のみを使用し、番号部分は内側から黒い板 で塞がれています。
 琴平線標準色は『コーンイエロー』 (Y19-75X) と『フレッシュ ホワイト』 (Y22-87C) によるツートンカラーです (2007年 8月に主要駅に掲出されていた『いるかボックス』の回答による。)

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2007.6.13 池戸−農学部前

 長尾線所属の1254+1253です。 外見上の琴平線の車両との差異は塗装程度ですが、 機能上はOSR (過速度検知装置) の設定速度が琴平線車の80km/hに 対して長尾線車は60km/hとなっており、設定速度を上回る加速ができない (加速 が自動で切れる) ため、運転最高速度が異なることになります。
 行先表示幕は琴平線の駅名の下に単純に長尾線の駅名追加したような並び方になっているので、 終着駅での幕回しの度に琴平線の駅名を見ることができます。
 長尾線標準色は『エメラルドグリーン』 (Y45-50T) と『フレッシュ ホワイト』 (Y22-87C) によるツートンカラーです (2007 年8月に主要駅に掲出されていた『いるかボックス』の回答による。)

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2005.6.25 挿頭丘

 挿頭丘に進入する1201+1202『ことちゃんこんぴら号』です。 このアングルだと、普通の 琴平線車両にしか見えませんが・・・。
 行先表示幕は1080形と同様京急に準じた書体のもので、黒地白文字はことでんでは初めてです。

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2006.3.23 片原町


2006.3.23 片原町

 『ことちゃんこんぴら号』の側面イラストです。 上の画像が向かって左の車両の、下の画像が 向かって右の車両の、それぞれ連結面側の扉間に描かれています。

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2007.8.11 三条−太田

 琴平線で運用中のラッピング車『しあわせさん。こんぴらさん。』です。 車両は1205+1206で、 金刀比羅宮が広告主となっています。
 地色はラインカラーより濃い黄色で、各客扉と貫通扉に配された赤い印と、側面扉間の『しあわせ さん。こんぴらさん。』の青い文字が、見るものに強いインパクトを与えます。
 ちなみにこの広告パターンは2代目で、当初は貫通扉の印が入れられていませんでした。

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2010.8.20 太田

 『しあわせさん。こんぴらさん。』と琴平線標準色の1215の並びです。 黄色の濃さが異なる のがおわかり頂けるかと思います。
 なお、『しあわせさん』は黄色一色で高松入りし、仏生山工場に搬入されたあとに車体の ラッピングが施されました。 ラッピング作業の様子はことでん公式ホームページでも 紹介されていました。

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2007.9.4 琴電琴平

 やや柱が邪魔な写真ではありますが、『四電エナジーサービス』の広告車です。
 既存の車体塗装を生かしてイラストや文字のステッカーが貼られており、これ以降同様な手法の 広告車両が増えたような気がします。 当初『四電エナジーサービス』広告車は1215+1216 (画像) でしたが、その後1207+1208に変更になっています。

 このほか、2010年8月時点で1209+1210の編成が『ヴィスポことひら』の広告車となっています が、私が訪れた時は検査のため工場に入っており、走行中の列車から一瞬確認できただけで 撮影は叶いませんでした。

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2010.8.20 高松築港−片原町

 『ユニバーサルホーム』の広告車です。 車両は1213+1214。
 車体腰の黄色い塗装部分 (クツズリ下を除く) に向日葵をあしらって おり、半ラッピング車ともいえるような姿になっています。
 ただ、イメージに訴える住宅関連企業の広告というところに胡散臭さを感じるのは私だけで しょうか?

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2010.8.20 片原町

 奇数号車右側の床下機器です。 参考文献と見比べたところ、奇数号車の床下機器は左右 とも種車との変化は見られませんでした。

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2010.8.20 片原町

 偶数号車右側の床下機器です。 種車の機器を撤去、中間車2両に分散して搭載されていた 機器類を吊り、さらに電動空気圧縮機をことでんの標準品である「C-1000」形に変更している ので、中間車の機器配置とも一致しないようです。

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2006.3.21 岡本

 奇数号車左側の床下機器です。 1200形は2両1組の編成ですが、編成両端の台車からは主電動機 が撤去されており、動力軸が連結面側台車に集中しています。 これは1台あたりの主電動機出力が 高いためですが、車種上はどちらの車両も電動車で、電動車比率は1M1T相当となります。
 なお、台車は京急時代と同じ物を使用していますが、制輪子は鋳鉄製のものに変更されています。

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2006.3.21 岡本

 偶数号車左側の床下機器です。 車号の偶数・奇数がことでん入りにあたって種車とは逆に なっており、興味深いところです。

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2006.3.22 仏生山

 ことでん入りにあたり、京急Muc車は床下機器の変更とともに屋根上のパンタグラフと配管を 撤去しています。
 屋根上配管・パンタ台などは全て撤去されていますが、妻上部には車体の中に配管が潜っていた 痕跡が残っています。

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2007.8.12 1253車内

 1200形の車内の様子です。
 座席のモケットは僅かに茶色がかった緑色の無地で、吊革が三角形のものになっているほか、 運客の仕切りの窓部分に手すりが付けられています。 それ以外に大きく変わった様子はありません が、座席脚台に取り付けられた暖房装置はことでん入りに当たって容量が強化されているそうです。

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2007.8.12 1253車内

 優先座席は連結面寄り両側にあり、モケットの色はワインレッド、吊革も黄色となっています。

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2010.8.19 1202車内

 偶数号車の乗務員室・車掌台側直後に新設された、車椅子スペースです。
 座席と網棚を撤去し、床材・腰部化粧板の整備と窓下に手すりを取り付けています。 窓は 下段が固定化されており、ラッチも外されています。

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2007.8.12 1253車内

 運転台です。
 マスターコントローラー・ブレーキ弁がことでんの標準品に替えられ、計器盤右の表示灯は 使われないのか車号板が付けられ、ATS表示機が他形式と同じ位置に付けられています。

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2007.2.4 片原町


2007.2.4 片原町

 各線に1編成ずつ走っていた『新屋島水族館』『せとうち夢中館』の広告車です。
 琴平線車は1203+1204でラインカラーより明るい黄色を、長尾線車は1255+1256でラインカラー より白っぽい緑色を、それぞれ地色として纏っていて、その上にキャラクターや文字ステッカーが 貼られています。  先頭部には広告などの文字やキャラクターが一切無く、『ことでん』の マークも入っていません。
 当初、奇数号車が『新屋島水族館』の、偶数号車が『せとうち夢虫館』の広告を掲げていました が、後にせとうち夢虫館の閉館に伴い新屋島水族館の広告に統一されました。 しかし新屋島 水族館との広告契約期間が終わったのか、琴平線車は2011年1月に琴平線通常塗装に戻され、 長尾線車は2010年10月に濃い緑色の1色塗りに改められました。
 なお長尾線車はことでん入りの時点で広告車になることが決まっていたようで、久里浜で改造 工事を終えた時点で緑1色になっていました。 従って、同車は所謂路線別の標準塗装を施された 経歴がありません。

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2007.9.3 三条−太田

 これも過去に見られた広告車で、全日空が広告主となり、文字とイラストで同社の高松−札幌便 就航をPRしていました。 車両は1213+1214です。
 この少しあとに、同じく全日空が札幌便と同じような要領で高松−沖縄便をPRする広告車を 走らせたこともありました。

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2005.11.18 川崎大師−東門前

 1200形の京急時代の姿です。 引退を2週間後に控え、大師線で活躍していたシーンです。
 画像の車両は最後まで京急に残った3編成のうちの1編成で、この編成の先頭車もことでんに 転じ1251+1252となって活躍しています。

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2011.12.17 エムサ菌