アナログテスターキットKIT-8Dの改造


ヤフオクで入手したsanwaのテスターキット KIT-8D。
見た目は同じでも頻繁に変更されており、これはもうかなり古いバージョン。
ずっと放置していたんですがそろそろ組み立ててしまおうと思います。
ただそのまま組み立てても面白くないので、ちょっとした改造をします。

×1Ω測定レンジの問題点

私がアナログテスターを使っていて一番気になっていることは内蔵電池の消耗です。
導通チェックをするときは×1Ωレンジを使うのですが0Ω調整をしているだけで電池がすぐに消耗してしまうのです。
なので導通チェックでも普段は×10Ωレンジを使っています。

アナログテスターの抵抗測定原理


電池の電圧でフルスケールするように倍率器を調整(0Ω調整)して分流器の両端の電圧を測定しています。
この図は簡略化したものであり、分流器Rsには並列に電圧計の入力抵抗、直列に電池の内部抵抗とヒューズの抵抗を合成したものが含まれています。
この図から分流器の値はメーターの目盛の中央値と同じであることがわかります。


このテスターの場合、抵抗目盛の真ん中は20Ωとなっており電池が3Vなので短絡時(0Ω調整時)150mA流れることになります。
これではすぐに電池がなくなってしまいますよね。

無駄な電流消費を抑えられないか

このテスターの最高感度のレンジは0.3Vなので電池の電圧は0.3Vまで下げられるはずです。
倍率器がなくなってしまうので入力抵抗は低くなってしまいますが分流器がなんせ20Ωなので余裕です。
0.3Vならば電流は10分の1で15mA、電力的には百分の一に消費を抑えられるはずです。

また、電圧が0.3Vだと半導体を順方向でも通過しないので、基板のパターンを追うとき導通なのか半導体の順方向なのかプローブの+−を交換して測りなおす必要もなくなります。

そこでワンチップマイコンを使って0.3Vのステップダウンレギュレータを構成し×1Ωレンジの時、電圧を0.3Vにする改造をします。

改造する前に

実は×1Ωレンジで大電流が流れることにはメリットもあります。
電球の点灯チェックやアンプの最終段の半導体の良否チェックなどにはとても便利なのです。
なので導通チェックはデジタルでアンプの修理にアナログを使うという人には全く無用の改造です。

回路設計

回路図

マイコンはATTiny13Aを使用しました。
ダイオードは本来はショットキータイプを使うのですが普通のシリコンダイオードでかまいません。
測定していないときはパワーダウンモードに移行するので電源スイッチはありません。
出力は1MΩで電源にプルアップされており、測定に入ると0V付近に下がることを検知してマイコンがウェイクアップします。

改造

レンジ切り替えのスライダーのパターンを2か所カットして線をはんだ付けするというかなり厳しい改造。


まあ、こんなことしなくても3V/0.3Vの切り替えスイッチを付ければ良いだけなんですが外観を変えたくなかったのでやってしまいました。
切り替えスイッチ式にする場合は2回路のものを使用し、連動して倍率器R16をショートするようにしないといけません。
また、切り替えスイッチ式の場合×1Ωレンジ以外で0.3Vでは正しい測定が行えないので注意が必要です。


ブザーキットのスペースに基板を取り付けました。全体

ソフトウェア

ワンチップマイコンをPWM動作させています。
A/Dコンバータで出力電圧を監視し負荷が20Ωから2kΩの間で0.3Vを維持するようにしています。
リップルがかなりありますがメーターが鈍感なのであまり気になりません。
せっかくなのでブザーも鳴るようにしました。
ブザーの閾値はプログラムで簡単に変更できますが、PWMの閾値を利用しているので電池の電圧が下がってくると高めの抵抗でも鳴るようになります。
新品の電池で10Ω前後で鳴るようにしています。

ソフトウェアのダウンロード(42)

調整

分流器R13はキットの18Ωは使えません。倍率器R16を短絡しているのでメーターの内部抵抗が低くなっている分、高めにしないといけないからです。
そこでR13は20Ωを取り付けておいてパラ付けで調整します。
パラに500Ω程度の可変抵抗器を取り付けて0Ω調整し、20Ωの抵抗を測定してメーターの針が真ん中(20Ω)を指すように可変抵抗器を調整します。
結果は255Ωだったので100Ω+150Ωをパラに付けました。

消費電流は一番消費が大きいブザーが鳴っている時で15mA程度、非測定時(パワーダウン)で1uA以下でした。

デジタルのテスターがあるのに今更こんな改造する人はいないと思いますが、自己責任でお願いします。


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