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ここでは,車いすからベッドへ移乗するときの移動元側の手の位置と働きについて述べます.
左の図は3ページ前の6-2-4で掲載しました,車いすへの移乗が終わったときの様子です.スライディングボードのベッド側の端が大きく持ち上がっています.これは高いベッドから低い車いすへ移乗したことが原因ではありません.ベッドへ戻るべく車いすに座っている人にスライディングボードをセットしましてもこの写真のようになります.
スライディングボードは高い方から低い方へ滑ることが原理です.この図のように移動先の方が高くては滑ることができなくなると見えますが,移乗は難しくありません.
移乗の方法について述べる前に,なぜボードを水平に近い角度でセットできないのかその理由について述べます.
左の図は車いすに座っている人にボードをセットしたときの模式図です.図からわかると思いますが,原因は車いすの構造的なものです.構造的に座面の中央がどうしても低くなりますので,ボードをセットしますとベッド側の端が大きく持ち上がります.また,車いすの後輪が大きいとタイヤに当たりますので,フレームが原因となるよりも更に大きい角度で先端が持ち上がります.
左の図はスライディングボードを横から見た図です.矢印Aで示しました溝は,ボードが折り曲がるためのものです.この写真の溝から左側が車いすの後輪に当たるようにセットします.ボードを置いただけでは折り曲がりませんが,被介助者が滑る途中でここに体重がかかりますと適当に折れます.ここが折れるために,後輪が大車輪でも不都合が起きません.
車いすからベッドへ移乗するときは,ベッドの高さを低くしましても,車いすの座面の中央部よりフレームの位置が高くなりますので,滑り始めの時に一度上方向へ移動し,高い部分を乗り越える動きとなります.上への動きがありますが,被介助者の体を宙に浮かせるわけではありませんので,介助者の負担はそう大きくはありません.
ベッドから車いすへ移乗するときは,移動元側の手は骨盤の上縁に当てましたが,車いすからベッドへ移乗するときは上への動きがあるため,臀部の下へ差し込みます.移動先側の手は同様に背中に回します.
上体を進行方向へ傾け,臀部を持ち上げるようにベッド側へ押しますと簡単に滑ります.ベッド上まで移動しましたら上体を起こします.この動きは移乗の方向には関係なく同じです.車いすへ移乗するときは移動の終点付近で深く座る方向へ方向転換しましたが,ベッドへ向かうときは必要がありません.ベッド上に移乗しましたら,自力で横になるか,介助で横になるかします.
ここまでは被介助者の動き,それを実現するための介助者の手の使い方について説明してきました.次のページでは介助者の姿勢について説明します.
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