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6-2-4 スライディングボードによる移乗の原理と手順

スライディングボードをセットするときの姿勢を示す図

1)ボードのセット準備

 上体を移乗する方向と反対方向へ傾け,ボードを臀部の下に差し込めるようにします.
 左の図では強調し,臀部が浮いていますが,浮いていなくとも体重が右側に偏っていれば差し込めます.



スライディングボードを差し込む位置を示す図

2)ボードの差し込み

 ボードの先端が体の中央付近になるように差し込みます.
 上体を大きく傾けますと,深く差し込みすぎてしまいますので注意が必要です.



車いすとボードの位置関係を示す写真

3)ボードの位置

 左の写真は,ボードをセットしたときのボード,体,車いすの位置関係を示します.
 車いす側の座骨しかボードに乗っていません.ボードに黄色の円で示しました角の部分に体が乗ります.
 車いす側も同様で,座席の中央部までしかボードは届いていません.ボードがこれ以上長く,座席の向こう側までありますと,移乗後に抜き取れなくなります.



スライディングボード上を滑るときの姿勢を示す図

4)移乗

 移乗するときは,上体を移乗する方向に傾けます.
 そして体をボード上で滑らせます.
 車いすの上へ滑っていきますが,停止する前に,上体を起こし,更に,滑ってきた勢いを利用して奥側に滑り,車いすに深く座ります.前のページでも述べましたが,深く座るための動きはベッドへ移乗する場合は必要ありません.
 滑り始めは単純な動作ですが,滑り終わりに細かな動きがタイミングよく必要となります.



車いすに移乗し終わったときの様子の写真

5)終了時の姿勢

 左の写真は,左にあるベッドから右の車いすへ移乗し終わった状態を示します.ボードが座面の奥まで入り込んでいませんので,このまま抜くことができます.楽に抜くのであれば,上体をボードにのっていない方に傾けます.
 足部の位置は中央にありませんが,このあとフットレストを取り付けたときに修正します.



6)足の位置

 ボードによる移乗の時,注意しなければならないことは,移乗前の足部の位置です.

移乗前の被介助者の好ましくない足の位置の説明図  移乗前の被介助者の正しい足の位置の説明図

 移乗の時,足部はつま先あたりを中心に回転します.
 左側の図のように足をそろえていますと,移乗時に下肢が絡み合い,動きを阻害します.
 そのため,移乗する前に,右側の図のように車いす側の足部を前方へずらしておきます.そうしますと,左側の図のように下肢が絡むことなく移乗ができます.


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