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3-5 身体機能が低下したときに表れる現象と対策

 身体機能が低下しますと,まず,車いすに座る時に,あるいは降りるときに介助が必要になります.
 また,座った姿勢を維持することが困難になり,

現象が表れます.

仙骨座りの様子を示す写真

 お尻が前へずれのるは,体をまっすぐに保つことができず,背もたれに寄りかかるためです.
 図で表しますと左のようになります.体重をお尻だけでなく,背中にも分散して負担を減らそうとするためです.そして,背もたれに作用する力が大きくなりますと,その反作用でお尻を前へずらそうとする力が大きくなり,ずれをより一層助長します.ずらそうとする力は褥瘡(床ずれ)の原因になり,姿勢そのものも褥瘡を起こしやすい姿勢で,避けるべきです.
 車いすが止まっていてもこのような現象が表れますので,移動中は路面の凹凸も加わり,より姿勢の崩れが顕著になります.
 左右に体が倒れるのも,原因は背骨を支える筋力の低下にあります.脳卒中の後遺症などで半身が麻痺している場合も麻痺している側に体が傾きます.

 標準型の車いすの座面はほぼ水平で,背もたれも垂直に近い角度をしています.上記のような現象が現れる人には,標準型の車いすは向きません.体が前へずれていくのを防ぐためにベルトやそれに類するのが市販されています.左右に傾くのを防ぐためのパッド類もあります.しかしながら,根本的な解決は期待できません.ベルトが体に食い込む苦痛を与えるだけにもなりかねません.
 根本的な解決は,座位保持機能を有する車いすに変更することです.座面は水平ではなく,前が高くなっています.その分背もたれが後ろへ傾いています.少し仰向けの姿勢になりますので,頭が支えられない場合もあります.その場合には,ヘッドレストが用意されています.
 更に,体が横へ傾かないよう,背もたれが体幹部を左右から支える形状をしています.
 当然ながら,このような座席は標準型車いすのように1枚のシートでは実現できません.乗用車の運転席がちょうどこのような形状をしています.座席を横から見て座面と背もたれの角度を確認してみてください.また,背もたれを上から見たときの形状を確認してください.左右方向の安定性を保持するために,体幹部を包み込む形状をしています.



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