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3-4 車いすの調節可能箇所

 車いすには多数の調整箇所を持った機種があります.一例を下に示します.

調節箇所を示す図 A 背もたれの角度
B ヘッドレストの角度
C ヘッドレストの高さ
D 肘掛けの高さ
E 肘掛けの前後位置
F 座面の角度
  座面は背もたれと一緒に動きます.
G フットレストのアームの角度
H フットレストのアームの前後方向の位置
I フットレストの高さ
J 後輪の高さ(直径の異なる車輪と交換できます),
  後輪の前後の位置
K 押し手の高さ


 多数箇所の調節が可能ですが,座幅の調節機能を有する車いすはありません(肘掛けの幅を変更できる車いすはありますが座面の幅を調節しているわけではありません).座幅は寸法違いのフレームが複数用意されている中から選ぶことになります.

 調節可能な車いすは多数の箇所で可能です.逆に多くの車いすはフットレストの高さしか調節可能箇所を持ちません.特殊な車いすをのぞけば,ほとんどすべての車いすでフットレストの高さだけは調節できます.
 なぜたくさんの調節箇所を有する車いすがあるのか.それは,調節が多数箇所で必要だからです.この種の車いすは,座る,移動するという基本機能以外に座位姿勢を保持するための機能を有しています.
 しかしながら,最も多く利用されている標準型車いすでは,フットレストの高さしか調節ができません.
 なぜ標準型では1カ所しか調節できないのか.その理由は1カ所の調節で十分だからです.更にいえば,ほとんどの人はこの1カ所も調節せずに使用しています.

 一方では多数の調節箇所を有する機種があり,もう一方でほとんど調節できない機種があることを述べましたが,その理由は,

からということになります.
 高齢者の場合,一般論として,時間と共に身体機能は低下します.一度調整した車いすをその状態で車いすの寿命になるまで使用し続けられられないことも往々にしてあります.
 身体状況の変化に合わせ車いすそのものを交換する考え方もあります.介護保険では,車いすはレンタルですので,その時々の状況に合わせて交換することが制度上は可能です.
 しかしながら,調節箇所をほとんど持たない標準型車いすと,多数の調節可能箇所を有する車いすの中間型はほとんどありません.従いまして,標準型から,多機能型へ順次交換していくという選択肢は限定されます.多くの場合,標準型から多数の調節可能箇所を有する多機能型へ一足飛びに変更することになります.
 交換する考え方の他に,最初から同じ車いすを調整しながら使用するという選択もあります.多くの箇所が調整可能な車いすはこのような考え方の元に作られています.高齢者は比較的短期間に状況が変化することもありますので,簡単に調節できる機能は意味を持ちます.

 中間型の車いすはほとんどありませんので,最初は標準型で対応し,次の3-5で述べます現象が表れましたら,多数箇所の調整可能な車いすへ変更する対応が現実的と思われます.


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