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3-10-5 車いすのこぎ方

 船ならばともかく,車いすで「こぐ」という表現が妥当かどうかわかりませんが,一般には自力で駆動することを「こぐ」と表現しています.
 障害者の場合,車いすをこぐことを含め扱い方全般にわたりリハビリテーションの過程で学習することになります.当然車いすをこぐための腕力を付ける訓練も受けます.
 確認したわけではありませんが,多くの高齢者は適切な使用法を教えられることなく車いすを使用し始めているように思われます.筆者がこのような推測をしていますのは,最も基本である車いすのこぎ方を知っていないように見えるためです.

自走用車いすのつかむ位置と離す位置を示す写真     自走・介助兼用車いすのつかむ位置を示す写真

 左側は自走用車いすです.車いすをこぐときは,腕をできるだけ後ろに伸ばし,ハンドリムの赤い円のあたりをつかみ,前へ回します.そして,腕がいっぱいに伸びる少し手前の黄色の円あたりで勢いをつけて離します.ハンドリムをつかんでいる角度をできるだけ広くします.これが車いすをこぐときの基本です.

 多くの高齢者の場合,右側に示します,自走・介助兼用の標準型車いすを使うことになります.
 写真が斜めから撮影してあるため,位置関係を明確には把握できないかもしれませんが,座る位置と車輪の位置を比べてみてください.標準型の方が車輪が後ろにあります.
 このことも影響していますが,標準型車いすを使用している人を見ますと,黄色の円で示しました,車軸の真上あたりでハンドリムをつかむ例を多く見ます.ハンドリムに力をかけて回転させる角度が狭い,効率の悪い状態で使用しています.
 標準型の場合,座っている位置が前になることと,背もたれにより(上の2枚の写真で,背もたれの高さを見比べてみてください)腕の動きが制限されますので,自走用に比べますとハンドリムをつかめる位置がどうしても前の方になります.制限はされますが,できるだけ力を効率よく利用するためここで説明しました方法を試してみてください.

 なお,左右のハンドリムに均等に力を加えませんと車いすは直進しません.右利きの人は右腕のこぐ力が強く,自然と左に曲がります.この傾向は,上り坂など走行の抵抗が大きくなるとより顕著になります.


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