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吊具の着脱,吊り上げ方,車いすへの着地のしかたなどは天井走行リフトと共通します.共通する技術につきましては,別に章を設けて説明します.
ここでは,床走行リフト独自の部分であります,介助者を真っ直ぐに吊り上げる方法について述べます.
左の写真の黄色の矢印は,床走行リフトで吊り上げるときのハンガーの軌跡を示しています.ハンガーはアームの付け根にあります点Oを中心とした円弧を描きながら上に上がっていきます.そのため,被介助者を吊り上げるとき,真上に吊り上げることはできず,斜め上に吊り上げることになります.その結果として,被介助者が車いすやベッドから離れるとき,青い矢印で示しましたように,支柱の方向に振り子のように振られることになります.
介助者は,被介助者の体がベッドや車いすから離れるとき,体が揺れないように支える必要があります.天井走行式のリフトでは真上に吊り上げますのでこのような介助動作は必要ありません.
床走行式のリフトで真上に吊り上げるためには,床走行リフトの車輪のロックをはずしておきます.車輪をロックしないで吊り上げますと,被介助者が支柱側に寄るのではなく,床走行リフトが被介助者側に寄ってきます.つまり,被介助者が持ち上がる瞬間に床走行リフトが車いすやベッドの方向に動くことができるようにロックをはずしておくわけです.床走行リフトが動きますので,被介助者は真っ直ぐ上に持ち上げられることになります.
吊り上げる時,床走行リフトは数センチ動きます.介助者はこの時床走行リフトのベースに足が当たらない位置にいないと危険です.また,床走行リフトが動いても,ものに当たらないためのスペースが必要です.
なお,もう一点注意すべきことは,床走行リフトの車輪の方向です.写真では車輪は車いす,あるいはベッドの方を向いていません.床走行リフトの車輪は自在輪ですので,車輪がどちらを向いていようと力の作用する方向を向きますが,車輪にブレーキをかけているのと同じ作用をします.そのため,突然にブレーキがはずれ動きだすことになります.この動きを避けるためには,事前に車輪をベッドや車いすの方に向けておきます.
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