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7-2-6 方向転換の方法

 床走行リフトは,車輪に四輪とも自在輪を採用しています.左の図は上から見たところで,青い円の部分に車輪が配置されています.四輪とも自在輪にしている理由は,部屋の中の狭いところで使用することを想定し,小回りができるようにするためです.介助者は支柱の後ろにあるハンドルを両手でつかみ移動の操作をします.



 四輪とも自在輪のため,左の図に矢印で示しますように,床走行リフトの向いている方向に関係なく前後左右,あるいは斜めに進むことができます.しかしながら,静止した状態から動き始めるときは,前後にしか動けません.
 空荷でしたら左の図の矢印で示します方向に動き始めることもできます.しかしながら,被介助者を吊った状態では,よほどの怪力がないと無理です.その理由は,車輪で囲った四角形の外側にハンドルがあるためです.後ろにあるハンドルをつかんで,左右,あるいは斜め方向に動きだすことは,不可能ではありませんが,大きな力を必要とします.車輪で囲っている四角形の中にハンドルがあればどの方向にも動きだすことはできます.
 前後に動きだした後であれば,進行方向に対していかような方向にも床走行リフトの方向を変えることができます.但し,そのまま長い距離を移動し続けることは困難です.このような走行時の特徴を理解して移動と方向転換を行い,床走行リフトと車いすやベッドとの位置関係を調整する必要があります.
 以上の説明では,床走行リフトの動きがわかりにくいかと思いますので,表現を変えてみます.四輪とも自在輪のため,車輪は直線的な動きをしていても,その上の部分は向きを変えられると言うことです.但し,進行方向と,向いた方向,車輪,ハンドルの位置関係によりましては,惰性で進む距離しか進めません.それ以上進むには怪力が必要です.もちろんカーブを描きながら進むこともできます.この場合は怪力は不要です.

 左の図は,床走行リフトの回転中心を示しています.被介助者と,床走行リフトを合わせた重心位置を中心とした回転をします.重心線は被介助者の体を通ります.ですから,被介助者の体を中心に回転運動をするといって差し支えありません.この回転運動は軽い力で行えます.


 床走行リフトで移動する際は,動きたい方向にまず向きを変え,それから押すか,引くかして動き始めます.あるいは,前後の直線方向に動き始めてから必要な位置に到達するまでに方向を変更します.
 なお,動き始めには,たいてい大きな力を必要とします.再三述べていますように,車輪は全て自在輪です.動き始めるときにその方向に車輪が向いていない場合があります.といいますより,向いていない方が多くなります.動き始めるときは,まず車輪が進行方向に回転しますが,静止時の向きによりましては大きな力を必要とします.被介助者の体重にもよりますが,非力な人には困難な場合もあります.


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