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歩行補助車の後輪は前後方向に固定されています(固定輪と言います)が,前輪は固定輪と首振りが自由なタイプ(自在輪といいます)の2種類が採用されています.また,自在輪には,360゜の回転が可能なタイプとある程度制限されているタイプ,両者の切り替えが可能なタイプの3種があります.
固定輪は直進性に優れ,自在輪は小回りに優れています.直進性と小回りの良さは両立しません.
一般の道路は見た目以上に凹凸があります.また,水はけのために傾斜がついています.前輪が自在輪ですと,凹凸や傾斜は直進の妨げになります.傾斜のある路面を直進しようとしましても,低い方へ向きを変えようとします.凹凸のある路面では方向が定まりません.直進するためには,人の側に高い操作性が求められます.
前輪が固定輪ですと,直進性は高まりますが,曲がりにくくなります.狭いところで曲がるためには,後輪を持ち上げることが必要になることもあります.大回りでも,車輪を滑らせたり,持ち上げたりして曲がりますので,スムーズには曲がれません.
自在輪で,ある程度動きが制約されているタイプの中には,単に角度だけを制限している機種もありますが,ばねにより前後方向を保持する力を作用させる工夫をしている機種があります.ばねの強さにより,直進性が高くなるか,回転性能が高くなるか変化します.
前輪は方向が固定されているか否かの他に,タイヤがシングルか,ダブルかの違いもあります.シングルの方が理屈としては押すときの抵抗が小さいのですが,実感できるほどの差はありません.ダブルにして前輪の幅をわざわざ大きくしているのは,溝にはまらないためです.
歩行補助車の後輪を持ち上げることは比較的楽ですので,後輪が溝にはまりましても脱出は何とかできます.そのため,ほとんどの歩行補助車は後輪はシングルです.
反対に,前輪が溝にはまりますと脱出が困難です.そのため,ダブルのタイヤを採用して前輪の幅を広げています.
「前輪がはまる溝」と言いますのは,最悪の場合線路の溝を想定しています.
下に,タイヤの例を示します.
固定輪/シングル (この写真は後輪) |
自在・固定切り替え輪/ダブル |
以上前輪についてあれこれと述べましたが,前輪の特徴を理解してから機種を選んでください.
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