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耐久性−150kgの意味について−

 シルバーカーに座っているとき,体重が負荷としてシルバーカーに作用します.
 成人の体重である数10kgという重さからしますと,150kgという負荷はかなり大きい値であると思いがちですが,決してそうではありません.
 先にも述べましたように,座ったまま移動しますと,路面の凹凸により体重以上の負荷となって作用します.路面状況によりましては2倍程度となることも予想されます.ですから,体重が50kgの人の場合でも,100kg程度の負荷を作用させることになります.

 更に,150kgに耐えるのは1回でかまわないというのが試験の規定です.この値の意味を耐久性との関係で考える必要があります.
 下の図は,ある負荷を作用させたときに,何回で破損するかを測定し,グラフ化したときの模式図を示します.


 負荷の大きさがAの場合1回で破損し,Bの場合は数回,Cの場合は数10回,Dでは十分に耐久性があると考えられる1千万回で破損することを意味しています.多くの材料は上の図のような耐久特性を有しています.
 問題となることは,強度試験で保証している150kgという負荷が,AとBの間にあるのか,C,あるいはDに近いのかということです.製品安全協会の規格に合格するだけであればAに近くともかまいません.実際にはある程度の余裕を持って設計していることと思いますが,そっと座っているのと,移動中に座っているのとではシルバーカーの耐久性への影響度は全く異なります.

 毎日出かけて,行きと帰りに1回ずつ座ったとしますと,1年で730回体重の大きさの負荷を与えたことになります.5年使ったとしますと3650回です.上の図では,CとDの中間あたりになります.150kgという負荷が更に低い位置にあることを期待したいところです.
 一方,10センチ間隔でブロックが埋め込んである歩道を走行しますと,前輪と後輪共に溝を乗り越えますので,1メートルの移動で20回の衝撃的な体重以上の負荷が作用します.200メートル移動するだけで,上で仮定した5年間分以上の回数の負荷が作用することになります.
 負荷が作用している時間的な長さを比べますと,移動中は瞬間的な負荷ですので,総時間としては数分という微々たるものです.しかし,材料の疲労には負荷の大きさと回数が問題となります.

 人は身じろぎもしないで座っているわけではありません.身動きすれば負荷変動がありますので1回の負荷とカウントするには無理があります.また,実際にブロック敷きの歩道を走行して負荷変動を測定したわけではありませんので,上記はあくまでも推測の域を出ません.
 しかし,シルバーカーに座って移動することは,耐久性の面で問題があり,破損時に座っている人が投げ出される危険性があることは強調したいと思います.そのため,多少無理を承知で比較してみました.

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