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褥瘡(床ずれ)について

 褥瘡ができるメカニズムは解明されていますが,できるための具体的な条件には未解明な部分があります.そのため,防ぐためには十分なマージンを見込んで対策を取る必要があります.下の図は,車いすに座っているときに圧力が集中する部分です.言い換えれば,褥瘡が発生する危険の高い部分を示します.


 グリーンの円の部分は座骨の部分で,正しい座り方をしますとこの2カ所に圧力が集中します.お尻が前へずれた姿勢になりますと,赤の楕円で示した仙骨部に圧力が集中します.

 褥瘡は血管がつぶされることにより,血流が阻害され,細胞が傷つく現象です.傷つくというのは穏やかな表現で,実際には細胞が死にます.
 褥瘡には数段階のレベルがあります.最初は皮膚表面が赤くなっている程度ですが,最悪の場合筋肉の内部まで傷が侵入します.褥瘡が皮膚の層を突き抜けますと,傷口が治っても皮膚が再生しませんので,その部分は次の褥瘡をより起こしやすくなります.
 寝たきりになりますと,後頭部,肩胛骨の部分,肘・手関節部,仙骨部,かかとなど皮膚表面のすぐ下に骨がある部分で褥瘡を起こします.体重に比べれば遙かに小さい,頭や腕の重さで血管がつぶれ褥瘡を引き起こします.ですから,車いすの使用時も慎重になる必要があります.
 上の表現では,体重でつぶれると述べましたが,体重の大小だけが問題となるわけではありません.実際には,体重の作用する面積との関係で問題となります.同じ体重でも,広い面積で受けますと,面積あたりに作用する体重,すなわち圧力は小さくなります.また,軟部組織が厚くありますと圧力は分散します.圧力がある一定値を超えますと,褥瘡に対して危険となります.圧力が最も大きな原因で,危険となるおおよその圧力値は求められています.しかし,皮膚表面を引っ張る力,皮膚表面の湿度などの外的要因や,危険な環境にどの程度の時間置かれているか,あるいは皮膚そのものの強度なども影響し,危険と安全の境界はまだ漠然としています.
 そのため,より安全側にマージンを見込んだ対応を取っておく必要があります.

 なお,車いすを使用していてお尻が痛いと,褥瘡の初期現象を訴えたとき,往々にして円座(ドーナツ状のクッション)を勧められます.従来はこのような対応が行われてきました.そのため,現在でも円座は車いす用クッションとして扱われていますが,円座は車いす用クッションとしては不適切です.車いす用のクッションでは,できるだけ臀部での接触面積を大きくして体重を分散させることが考えられています.円座では圧力を分散させることは考えられていません.
 円座を使うことで,褥瘡ができつつある部分が座面に触れることを避けることができます.接触させない効果はありますが,体重を支える面積は逆に減少しますので,他の部分では圧力が上がります.また,褥瘡部の周囲に圧力の高い部分ができ,褥瘡部の血流が阻害され,褥瘡の回復を阻害するといわれています.

 褥瘡のメカニズムと予防法につきましては,最新の医学的知見を確認してください.車いす用クッションも新しいものが次々と工夫されています.この面での最新情報にも注意を払い,適切なクッションを選択してください.
 褥瘡は一度できますとなかなか治りませんし,治っても再発しやすくなります.ここには褥瘡の写真は掲載しませんが,関心のある方には掲載しているページを紹介しますのでご覧下さい(別ウインドウが開きます).傷口の写真に慣れていない方は覚悟してご覧下さい.

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