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6-1-1 道路から屋内

 車いすが必要になりましたら,どこで車いすを入手するか,どのような車いすを選んだらよいのかなどにはすぐ気付くことと思いますが,道路から屋内まで,及び屋内での移動経路(以下動線といいます)の確保も同時に考える必要があります.最初に,道路から屋内までの動線を確保する方法について述べます.

 道路と敷地の間に多少の段差がある家はたくさんあります.階段1,2段の段差から,時には2,3メートルの高低差がある場合もあります.更に,玄関に入るとき,及び玄関内にも段差のある家が普通です.また,敷地の入り口から玄関までの通路が曲がった坂道であったり,車いすが通るには狭い通路だったりします.

 車いすは車輪で移動しますので,原則として平面の移動となります.そのため,段差がある場合,様々な工夫をして動線を確保する必要が生じます.
 段差があっても動線を確保する方法はいくつもあり,たいていは解決する何らかの方法があります.しかしながら,人力に頼らなければならない場合もあります.
 1,2段の階段ならば,通過するたびに移動用のスロープを設置する方法が最も経費のかからない方法です.段差が高くなりますとスロープの角度がきつくなります.角度を緩くしますと長いスロープが必要になります.スロープの角度は7゜程度が目安です.10゜になりますと非力な人には困難になります.
 段差解消を大がかりに行うならば,車いすを載せたプラットホームを,階段の壁面に設置したレールに沿って持ち上げる車いす用の昇降機があります.垂直に持ち上げるならば段差解消機があります.更に,道路と敷地の段差が大きい場合,ホームエレベータで道路の高さまでおりることも場合によりましては考えられます.
 また,家の出入りは何も玄関に固定して考えることはありません.床面の高さまで窓が開いていれば,段差解消機を使用して ベランダなどから出入りできますし,窓を広げて出入り口に改造することもできます.

 住居が一戸建てすと,大がかりな改造も可能ですが,集合住宅の場合はそうもいきません.5階建て以下の低層住宅ですと,エレベータの設置が義務づけられていませんので,2階以上の階ですと動線の確保が困難です.1階に居住していましても,車いす対応として設計していない限り,入り口には2,3段の階段がある場合が普通です.たとえ段差解消機でクリアできるにしましても,設置させてもらえるかどうかの問題があります.1階ですと,段差解消機を使用してベランダから入る動線を確保することも可能ですが,2階以上ですと人力に頼らざるを得ません.
 集合住宅の階段は踊り場を設けて折り返している形式が多くあります.階段の踊り場が広い場合,自走式の車いす用階段昇降機が使用可能となります.ただ,この装置を使用して1階に下りたとき,装置の収納場所の確保が必要になります.

 道路から家の中にはいるための動線の確保には,大がかりな住宅改修が伴うこともあります.この点の覚悟が必要です.賃貸や,集合住宅では改修自体に制約がありますので,専門家とよく相談し解決法を探って下さい.最初にも述べましたように,機器の適用ができず人力となる場合もあります.
 改修の内容について写真で具体的に例示できず申し訳ありません.「福祉機器とは」編にスロープや段差解消機の写真を掲載していますので,そちらも参照してください.


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