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座っているときの座圧を測定し,その大小でクッションの効果を評価できるのですが,「言うは易く行うは難し」の状況にあります.
まず,センサの問題があります.クッションに座りますと当然クッションがつぶされ変形します.人により変形のしかたは変わります.始めはほぼ平面で,座ることにより変形しますが,このような形状の変化に追従して,正確に微細な部分の圧力を測定することには難しさがあります.下の図は3-7で示しました座圧分布のサンプルです.このときに使用したシート状のセンサはクッションの変形にうまく対応できていません.センサシートにシワがより,この部分に青の矢印で示します余分な出力が出ています.多少の不正確さがあっても,着目している部分ではほぼ正確に測定できていると見なしてデータを蓄積しています.
今までいろいろなセンサや測定法が開発されていますが,まだ標準となるものはありません.
もう一つ測定で難しいのは,座っている人がじっとしていないということです.上のグラフは筆者が比較的座圧分散効果が高いクッションに座ったときの,ある一瞬の座圧を示しています.座圧のパターンは常に変化しています.また,背筋を真っ直ぐに伸ばしているつもりでも,左右の座骨に均等に体重が作用しているわけではありません.上の図でも,向かって右側のピークが少し大きくなっています.
ピーク値の大きさで単純にものを言えそうもありません.かといって,平均値でものを言ってよいのかどうか,平均化する場合,どの程度の時間で平均化すれば妥当なのか,などデータの読み方にも課題があります.データの読み方が異なりますと,厳密な比較はできません.
できるだけ単純化して述べたつもりですが,そのため多少不正確な内容になっている箇所もあります.要は,誰でもが納得できるようにして座圧の測定を行い,結果を比較することは簡単ではないということです.
現在でも,ある特定のセンサを使用し,ダミーを座らせて測定するなど,条件を統一して測定すればクッションの効果の比較が可能となりますが,まだそこまで研究は進んでいません.