８－４　車いすとの併用は困難です

　いす式階段昇降機と車いすの併用は困難です．車いす使用者の２階への移動手段として選ぶことはお勧めできません．この点をまず指摘しておきます．
　車いすから自力で立ち上がり，いす式階段昇降機のいすへ自力で座れるならば組み合わせに問題はありません．ただし，上の階へ移動した後自力で移動するか，別な車いすが用意してあるか，あるいは介助者が車いすを運び上げる必要があります．昇降機が通路の大部分をふさいでいますので，運び上げは簡単ではありません．
　移乗が介助ですとまず無理です．ここに移乗用の機器を用意することも考えられますが，上下２組必要となります．
　いす式階段昇降機のいすは座面が小さく，背もたれが比較的立っていますので，背筋を伸ばした座位保持が求められます．自力で移乗できない人は，下肢だけでなく，体幹を支える筋力も低下しています．そのため，座った時に背もたれに寄りかかり，体を支える負担を軽減しようとします．しかしながら，この種の機器で採用されているいすではそのような座り方はできません．階の移動は比較的短時間ですが，背筋を伸ばした姿勢を保持できるかどうかも適用可能かどうか決めるポイントになります．