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5-4 2階への移動機器 ~車いす用昇降機~

 車いすで2階と移動する機器は,技術的にはエレベータで完成していると言えます.しかしながら,現実問題としてエレベータの設置が困難な場合があります.エレベータの代替えとなる機器もいくつか紹介しますが,いずれも長短あります.

上下の階で出入り口が同じ方向の形式と,通過式になる形式を示すエレベータの模式図

 左の図はホームエレベータの概念図です.
 エレベータは階の移動で最も安全な移動機器です.
 左側は1階と2階の出入口が同じ側であり,右側は通過する形式に出入口を設けていることを示します.
 一人乗りから三人乗りまでありますが,車いすに乗った人と,介助者が乗るために,できれば三人乗りを選択することをお勧めします.


 三人乗りをお勧めしますが,その一方,できるだけ狭いスペースに設置できるよう,車いすの寸法ぎりぎりの設計としている機種もあります.
 ホームエレベータを移動機器として選択しますと,エレベータ本体の価格,設置の工事費のほかに,定期点検などの維持費がかかります.維持費が見落とされがちですのでご注意下さい. 
 なお,ホームエレベータには高さ制限があり3階までです.

 5-2で紹介しました段差解消機の揚程を2階まで延長して階の移動を行う製品もあります.扉のない箱が上下する機種もあり,一見しますとホームエレベータのようです.しかしながら,段差解消機にはエレベータのような厳格な安全基準はなく,全く別物ですので注意が必要です.

階段の天井に設置したリフトで車いすを吊り上げる装置の写真

 車いすで階段をクリアするための機器をいくつか紹介します.
 左の写真は車いすをベルトでつり上げ,ベルトの巻き上げ機が階段の天井(実際には天井裏の梁)に固定したレールに沿って上り下りします.左の写真はデモ機で,階段の段数が少ないため,レールが斜めになっている長さが短くなっています.
 階段に櫓を組み,櫓にレールを固定する方式もあります.また,階段は直線であることが好ましく,多少の曲りには対応できますが,折り返しの階段には対応困難です.
 昇降できる角度に制限がありますのでご注意下さい.


壁面にレールを固定する方式の階段昇降機の模式図

 左の図は,階段の壁面に固定したレールに沿って,車いすを載せたプラットホームが上下する,固定型の車いす用階段昇降機です.
 この形式の階段昇降機は幅が広く,個人の住居ではなく,駅など公共の建築物に設置することを主に想定しています.


 車いす用階段昇降機には,固定型だけでなく,自走型もあります.階段の上下部分の広さに制約がありますが,個人の住宅でも使用できる可能性があります.上の図のようにレールに沿って移動するのではなく,車いすを持ち上げている装置がキャタピラや車輪を使用して自走で階段の段を上っていきます.曲がり階段も上れますが,踊り場の広さが必要です.螺旋階段を上れる機種もあります.直線を上るタイプの場合,階段に真っ直ぐアプローチしませんと段を踏み外し転落の危険性もあります.そのため,介助者は事前に十分練習を積む必要があります.
 自走式の車いす用階段昇降機で階段を1回上下したことがあります.この経験で,このようなことを述べますと誤解を与えかねませんが,上りはさほどではありませんでしたが,下りの1段目に移るときにかなり怖い気がしました.
 写真がありませんので,具体的な動作がわかりにくいと思います.メーカーのページ(別ウインドウで開きます)にリンクしますので,そこで確認してください.各製品に動画がついていますので,実際に階段を移動する様子がわかります.

 1階と2階を昇降する装置をいくつか紹介しましたが,いずれも大がかりで簡単には交換できないものです.実物を確認するなどしてよく検討してから導入を決めて下さい.
 また,いずれの装置も設置が困難な場合もあります.そのような場合は生活の場を1階に限定するか,人力に頼ることになります.


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