１－１　はじめに

　現在国内で入手できる（国産だけでなく，輸入品も含みます）既製品の車いすは多くありすぎて正確な数はわかりません．ある資料で数えたところ６００種以上ありました．この資料は国内の全製品を網羅することを目的としているとは述べておりませんでしたので，総数がいくつになるのか予想することもできません．また，一つの製品には寸法違いや，オプションの有無によるバリエーションがありますので，国内で入手できる車いすの種類は多数あるとしか表現ができません．

　なぜこのように多くの車いすが作られているのか．その理由の根本には
　　　　オールマイティの車いすはない
ことがあります．

　使う人の身体状況，使用目的，使用環境などを考慮して様々な工夫を重ねた結果，このように多くの製品が世に出たわけです．選ぶときは先の要因に加え，経済的な制約も考慮することになります．それにしましても，数百の中から選ぶことは，かなり困難な問題です．この点につきましては「選び方・使い方」編で述べています．本編では形状・構造について各種のバリエーション紹介していきます．

　数百種類の製品があると述べましたが，そのほとんどはいわゆる標準型という形状をしています．最初に標準型を紹介します．標準型に対して様々な工夫が加えられていますので，それらもできるだけ紹介していきます．