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4-4 特徴を有する電動三・四輪車 ~使いやすいかは別問題です~

 電動三・四輪車には様々な特徴を有するバリエーションがあります.各種の特徴は必ずしも標準型に比べプラス面だけを有しているわけではありません.ある特徴を持たせたことにより,大きなマイナスを生じている例もあります.選ぶときにはこの点をよく注意してください.
 なお,下記の例が有する特徴は,例示した機種だけが有するものではありません.他にもあることをお断りしておきます.

小型の電動三輪車の写真
長さ1140×幅620×高さ840mm
重量45kg

 左の製品は
  小型軽量であること,
  分解でき,乗用車のトランクに収納できること,
  前輪駆動であること
を特徴としています.

 小型軽量で,携帯性があることが売りとなっていますが,駆動機構を簡略化したことで運転特性にマイナス面が表れています.
 駆動力が前輪の左側から伝わる前輪駆動を採用しいますが,そのため,ハンドルには常に左側へ回転させるモーメントが作用します.つまり,ハンドルを右側に回す力をかけ続けないと直進しません.
 走行中に手を離しますと,直ちにハンドルは左いっぱいまで切られます.この特性を理解しないと危険です.

介助用電動車いす車いすの形状になる電動四輪車の写真
長さ1030(1080)×幅580(610mm×高さ960mm(1060mm)
( )内は補助輪およびバックミラー装着時
重量68kg

 左の製品は四輪の中型サイズです.一般論として,四輪型は小回りが苦手ですが,多少小型化することにより,小回りを可能としています.
 大きな特徴は,写真にもありますように,座席を後ろ向きにし,介助者がハンドルを操作することにより介助用電動車いすと同じ形態で使うことが可能になるところにあります.
 しかしながら,はっきり言いますと,介助用として使用することには使いにくさがあります.写真のように座席を後ろ向きにした状態では座れないため,前を向いた状態で座ってから,後ろ向きになります.次いで,後ろで舵を切りますので,直進性が低下しています.曲がるときの方向決めも難しく,操作性は良いとは言えません.さらには,介助者の位置が後ろになりすぎています.そのため,前方の安全確認に不安があります.

不整地用の電動四輪車の写真
長さ1190×幅660×高さ1080mm
重量 80kg

 この機種は大型であること,4輪駆動であることに特徴があります.
 不整地向きに作られていることもあり,車高も高くなっています.都市部では取り回しがしにくい場面もありそうです.車高がありますので,使用者の身体状況によりましては,のりにくさが予想されます.
 四輪駆動の機種は他にもありますが,不整地対応として,車高を高くしている例は他にはありません.

手押しの様子を示す写真

クラッチレバーの収納場所を示す写真

 電動三・四輪車は電源を切った状態で駐車ブレーキが作用しています.そのため手押しはできません.
 非常時のために,クラッチを切るとブレーキがはずれ,手押しができるようになります.左の機種は,ブレーキがはずれた状態では人が乗れなくするための工夫をしています.
 通常は座席下に位置しているレバー(左下の図の黄色く塗ったレバー.実際は,左の上の図のように黒く塗装されています.)を持ち上げながらでないと手押しができないようになっています.
 ここまではよいのですが,片手がクラッチレバーの操作に取られますので,押すためには片手しか使えません.レバーを離すと元の位置に戻り手押しができなくなるためです.
 手押しをするときは,両手でハンドルをつかめるともっと良いと思います.
 なお,クラッチを切ったとき,なぜ人が座席に座っていてはいけないのかにつきましては,「選び方・使い方」編で説明します.



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