JR発足20周年18きっぷの旅

〜国鉄時代の面影をさがして 7〜



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時刻は14時30分を回ったところ。次の備後落合方面の列車は、何と16時58分まで無いときた…。
それまでずっと駅の待合室でボーッとしているなんてこと出来ない。

仕方ないので14時40分の反対列車で一旦、三次方面に引き上げることにしました。




時刻は15時ちょうど。塩町で途中下車してみることにしました。
塩町駅選定理由は特にありません。ただの気まぐれです。




駅舎です。古いモルタル建てで、年季の入った田舎の集会所か公民館といった雰囲気でした。
一応有人駅でしたが、私が行ったときは窓口を締め切って、奥で近所のジッ様たちが集まって世間話で盛りあがっていました。




駅のお向かいにあった大岡食堂。パッと見、昔近所にもあったような駄菓子屋さんという雰囲気が懐かしい。
この手のお店は灯りをつけないので、「営業中」という札が無ければ営業しているかしていないのかの判断が難しい。
稀に開いてても主人が出てこないことは多い。

そう考えると、行きつけの店でもない限り入り辛いものがある。




一方こちらは塩町食堂。いわゆるライバル店か?
看板は目立ちますが、雰囲気は大岡食堂と殆ど変わりません。

やはり開いてるかどうかの判断が厳しい。
駅から徒歩1分という立地条件の良さが売り物ですね。
ただ、列車がなかなか来ないというのがネックか。急行列車が何往復もあった国鉄全盛の時代はさぞ賑わったことでしょう。
栄枯盛衰を感じさせます。




塩町食堂の自販機は100円とお得。
しかも流行のおでん缶もあります。
おでん缶も通常の自販機での標準価格よりお買い得です。

こないだの例もあるし、おでん缶はアキバで買うより田舎で買った方が安いらしい。
いつも思うのですが、自動販売機ではなぜコーヒーを左上、おでん缶は右下に配置するのだろうか?
稀に例外もありますけど…。




馬洗川に架かる芸備線の鉄橋。
まるで昭和30年代で時間が止まってしまったかのような風景にうっとり…。
河川に堤防は築かれていますが、見た感じ護岸工事は行っておりません。まさに手付かずの河川風景です。
川というと川岸も堤防もコンクリートでガッチリ固められているものしか知らない我々としては、こういう自然の川の姿を見るとホッとします。
洪水などの被害が少なかったのかもしれません。色んな小動物がまだ息づいている可能性はありますね。




屋根がふっ飛んだ家がありました。
局所的に竜巻にでも遭ったみたいな壊れ方です。


そろそろ見るところが無くなってきました。
うーん、一本やり過ごしただけで列車をこんなに待たなくてはならないとは、とんでもなく不便な路線です。
塩町はこれでも福塩線との分岐駅。こんな不便な路線誰も乗らないって!

やむを得ず待合室に籠って列車を待っていたら、知らないおばさん達が来て世間話していたので、それに聞き耳立てて退屈を紛らわせました。
とうとう16時30をまわって日が傾いてまいりましたぞ!




塩町駅のホームには水道の蛇口があります。蒸気機関車時代の名残りかもしれませんね。
稀に水が枯れてたりすることもありますが、私のような各駅の旅をするものにとって大変有難い。
多分、昔はこれでススだらけになった顔を洗ったりしたのでしょう。

国鉄末期頃からJR化間もない頃までは、稀に洗面台が汽車の中に設置されてたりしたものですけど、今では高額な特急にでも乗らないと付いていませんので、水道は重宝します。


ここから、いいかげん待ちに待った芸備線16時38分発の備後西城行きに乗ります。




17時20分、備後西城に到着。ここから先は災害復旧中なので不通。
代行バスにのりかえとなります。
ちゃんとこの先の列車に接続してくれるんだろうなあ…
昼間ならともかく、こんな時間にこんなところに取り残されたら交通機関はタクシーしかない。大変なことになる。
とても不安だ。




駅舎はこんな感じ。こんな時でも旅の記録は忘れません。写真をパチリ!

列車の利用は殆どが学生。他にはいません。こうも不便なら無理も無いけど、旅客の減少は深刻です…

駅前には代行バスがスタンバイしていました。
運転士に行き先を伝えると、備後落合発の列車運転士に乗り継ぎ客ありの連絡をしてくれたので、とりあえず安心。


余談ですが、制服がセーラー服の高校がまだあったんですね。やっぱりセーラーはいいですね〜




バスの利用はお年寄り二人以外は私だけ。しかも備後落合まで行って接続列車に乗り換えるのは私一人のようである。




17時27分、比婆山駅到着。お年寄りはここで下車。定刻の発車で、バスは備後落合へ向かいます。




途中の車窓から、崩れた崖と、復旧中の芸備線が見えました。
まだ復旧しようという気があるだけここはマシですね。
中には復旧せずに廃線とするところも稀ですから。




崩れたところは一箇所ばかりじゃないようです。
あちこちに災害の傷跡がっ

近年の異常気象は過疎や財政に苦しむ地方に甚大な被害を与えているのがわかります。




17時37分、備後落合駅前に着きました。時刻どおりです。
ここで接続をとっている17時43分発の木次線、宍道行きにのりかえます。

なにせ、木次線の備後落合〜宍道間を直通する列車は一日僅か2往復。
17時43分発に乗り遅れたりしたら明日の9時半まで列車が一本もありません。
乗れてよかった…




私一人のために運転士のお出迎えを受け、列車は定刻に発車。

ここだけの話、備後落合駅の待合室は、ベンチに毛布が敷かれ、おやつでいっぱい。
女学生の宿泊所になっていました。
夕方学校が終わっても、夜中まで列車が無いし、これといって遊ぶ所も無い。だから仕方ないと言えば仕方ないのですが。
でも、友達同士盛り上がって何だかとても楽しそうでした。
どうせ列車なんて殆ど無いし、どの列車もガラガラなのだから、学校の時間に合わせて臨時の増発組んでも良さそうなものだが。




ほら、見て下さいよ、これ。キハ120まるまる一両貸切です。
何て贅沢な旅なのだろうか(笑)




とりあえず見事な車窓を満喫しながら駅弁を堪能します。
広島駅で買ったものです。食した感想はまたいつか(笑)

例によってロングシートでの駅弁タイムになってしまいましたが、やむを得ません…
それにしても、ロングシートに私一人というのは切ないですよ。
ボックスシート、欲しいですね。

ボックスシートを採用しないのは遠距離利用が無いためなのかな?
こんなにいい路線なのに…




のんびりした車窓がこの路線の魅力だということがよくわかった旅でした。
こんな車窓がひたすら続く路線なんて、北海道にでも行かないとそうそう見られるものではないと思う。

木次線にはもう一度のんびりと乗りに来たいです。とても一日では堪能仕切れません。

なのにこの列車の本数は勿体無いですよねえ。この優れた車窓はいい宣伝になると思うのですが…
しかもこれだけでは終わりませんでした。

この先には更なる絶景が!




これが噂に聞く「おろちループ!」

木次線でこの景色を見ることが出来たのか。実は計算外…
日本三大車窓も真っ青の絶景です。
もっとよく調べて時間を調整しておくんだったなあ…でも列車がいい時間に走ってないんだよねぇ
窓も開かないし…

ちょっと薄暗くて景色がよく見えないのが残念。




木次線って、なんて濃い路線なのだろうか。
今度は3段式スイッチバックですよ。
しかも駅には延命水です。
これもどこかで聞いたことがあるけど…

降りてみたいが、降りてしまうと列車がもう…




「ここで3分停車します」と運転士。これはチャンスだ!

もちろん延命水、飲んできましたよぉ
なぜか水は温かかったです。
すっかり暗くなってしまい、写真でお見せ出来ないのが残念…。




今度は出雲横田で17分停車。
せっかくのチャンスなので、駅舎を見てくることにしました。

まるでお寺のような凄い駅舎です。
つくづく陽が落ちてしまったのが残念でなりません。
雰囲気だけでもお楽しみ下さい。

というか、木次線は凄い駅舎のオンパレードです。
JRにまだこんなところが残っていたことに驚きました。


運転士さん、こんなオタクが貸し切ってしまってごめんなさい〜




木次です。19時43分に到着。ここで28分停車。
一般人ならば我慢ならない停車時間ですが、私としてみれば有難い…
つくづくもっと早い時間に来たかったと思うところです。

改札を出て駅舎とかも狙って撮ってみたのですが、暗くて全然うまく撮れん…orz
ゆっくりと巡ってみたいですね。

観光列車として「奥出雲トロッコ」が木次線で運転されていますが、JR九州の「いさぶろう、しんぺい」のような、ゆっくり駅めぐりの出来る観光列車を平日でもどんどん運転してくれたら嬉しいですよね。


ここらからポツポツ学生とかの利用とかもありましたが、どなたも短距離利用ばかりでした。
ロングシート車投入も頷けますね、残念ですけど。




宍道に到着しました。時刻はもう20時半をとっくに回っています。
普段ならこんな夜中、景色も見えませんし、暇な旅の時間のはずですが、全然退屈しませんでした。
木次線、昼間だったらさぞ楽しかっただろうと随分後悔しました。
絶対また来るぞ!




宍道で21時7分発の米子行きに乗り、現在の時刻が22時5分。
今日はここで予約していたホテルで一泊します。
一時は備後庄原で間違って降りてしまい、どうなることかと思いましたが(^_^;)
まあ無事着いてよかったです。




チェックインして入室したのが22時20分。
今日は内容の濃かった旅でした〜

今までロクに寝てないのでさすがに疲れた。今晩はゆっくり休めそうです。

夜が明ければいよいよ旅も後半、4日目突入です。



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