R発足20周年18きっぷの旅

〜国鉄時代の面影をさがして 6〜



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時刻は8時前。JR倉敷駅ホームで山陽本線の下り電車を待ちます。




向こうに見えるのは、老朽化したキハ181系の後継として投入されたキハ187系。
近くで見るのは初めてですが、何とコメントしていいやらわからない、無表情な外観です。
一言で言うなら「超ダセー」

あのカッコイイキハ181系の後継がこんな車両だなんて、酷いとしか言いようが無いでしょ。




やや遅れて到着した三原行きの普通列車に乗って、三原に向かいます。
相変わらず外にはどんより雲が立ちこめていますが、雨は止んだようです。

車窓に見える瀬戸内海を眺めながら、夜中に宇野で買ったおやつをツマミながら国鉄車両に揺られます。
至福の時です。




定刻よりやや遅れて三原に到着。
時刻は9時30前。
ここで後続のシティライナーにのりかえて広島へ向かいます。
少々待ち合わせ。
駅名標には中々イカシたタコのイラスト。三原は蛸が名物らしいですね。知りませんでした。
蛸というと明石を思い出してしまいますけど。




49分発のシティライナーが到着。これに乗り、広島まで向かいます。




広島に着きました。時刻は間もなく11時。
本日のメインディッシュとなる列車が広島を出るのが12時21分なので、それまで自由です。
せっかく久し振りの広島訪問なので、少し散策でもしましょう。
とりあえずオーソドックスに駅周辺の売店を一回りして、駅弁など所望…




駅前の路面電車のターミナルにはひっきりなしに列車が入れ替わっています。
中には3両編成の電車まで…公共交通の需要の多さが他県と凄い差だ。
本州で路面電車の3両編成が見られるところなんて、ここくらいじゃないのかな。しかも複線です。
この活気は何なのだろう…バスの本数も大変多いです。




街を歩いていると、今でも太平洋戦争の傷跡をあちこちで見掛けることが出来ました。
ちなみに、上の写真では原子爆弾の被害を受けた木と、被爆後に植樹された木が一目で見分けがつきませんか?

爆心地からの爆風を受けた木は根元から曲がっています。まるで爆心から逃げようとしているかのようにも見えます。




稲荷大橋です。
橋の上を路面電車が走る。昔はどこでもこんな光景が見られたらしい。
今ではこんな遠くに来ないと見られないというのが悲しい…。

全国で公共交通機関の廃線や廃止が相次いでいる中、ここ広島ではそんな雰囲気など微塵も感じられませんでした。
これが理想の公共交通網の構築というものでしょう。

全国の自治体は広島県の公共交通を手本にして、来たるべき高齢化に備えてもらいたいものです。




湖畔に喫茶店が並んでいました。
外にテーブルやイスがあり、川の流れや道行く路面電車を眺めながら…なんてなかなか良さそうじゃありませんか。
時間があれば寄っていくところなんですがねぇ。今度また広島に来た時は寄ってみようと思いました。

そろそろ時間がヤバくなってきました。
時間が経つのがあっという間です。




すぐ近くに電車が来たので、路面電車に乗って広島駅に戻ってきました。
乗りたいときにすぐ乗れる。よその鉄道事情と大違いである。




散策の時間は終わり、広島からは芸備線にのりかえ。
以前から乗りたいと思っていた急行「みよし」を利用します。本日の目玉列車です。

「みよし」はキハ58系気動車急行の最後の生き残り。以前から気になっていました。
実はもう一つ急行という格付けの気動車が津山線に走っていますが、それはキハ40という近郊形気動車に変更されてしまいました。




塗装こそ国鉄時代と違いますが、それ以外は国鉄当時の面影を色濃く残しています。
なにより、急行サボや愛称サボが掲示されている現役のキハ58系なんて、今やここにしか無いんじゃないでしょうか。




車窓には目障りな国道も高速道路の高架も無し。
ひたすら田んぼと畑、長閑な山々の景色と三角屋根だけが広がります。
久しく見ていなかった真のふるさと日本の風景を見ました。


更に臨場感を楽しみたい方は、ここをクリックすると急行「みよし」車内の音声が再生されます。
ヘッドホンなどでお楽しみ下さい。




座席の設備は国鉄時代の急行列車の普通車の標準設備だったクロスシートです。




どこまでもつづく低い山々と三角屋根。空いた車内。目に優しい風景。
物思いにふけるには最高です。

遠くに見える土砂崩れ跡が生生しいです。




終点の三次に到着が13時40分。ここは「朝霧の巫女」という漫画の舞台になった場所でもあるようです。
よく知らないけど…。よかったら検索してみて下さい。

およそ1時間と10分の汽車旅でした。
汽車旅はまだまだ続きます。

三次では、ひきつづき芸備線、13時44分発の備後落合行きの普通列車にのりかえ。
ところが行き先別の発着番線の明記がはっきりしていなくて大変迷いました。しかも構内放送が無く、ホームに駅員もいないので少々厄介です。

列車に行き先が明記されていても、途中の知らない駅で止まってしまう列車では、時刻表を広げて路線と駅名を調べないと方面が判別出来ない。
幾つもの路線に分岐している小さな駅の合理化には困ったものです。
乗り間違えると何時間経っても引き返せない列車の本数だということを少し考えてもらいたいところだ。


「これは○○へ行きますか?」と不安そうに運転士に何度も尋ねて回るおばさんを尻目に、私も何とか4分ののりかえで備後落合行きに乗車。
しかし、列車の行き先表示は何故か「備後西城」

乗り間違えてたらどうしようかという不安が過ぎります。
席を立って運賃表に掲げられている駅名を片っ端から探していると、備後落合駅の2つ手前に確かに備後西城という駅がある。
でも、なぜ2つ手前で止まってしまうのだろう…。
13時44分発の列車は、時刻表では備後落合行きとなっている。


やがて車内放送がかかり、備後西城から代行バス輸送のお知らせが入った。

…知らなかった。芸備線は現在災害で備後西城〜備後落合間が部分運休になっているらしいのだ。
これは困った…ちゃんと接続とれてるんだろうな?
知ってたらわざわざこんな本数の少ない路線に来なかったのに…




何はどうあれ、乗ってしまえばあとの祭り。
僅か1両のワンマン列車にコトコト揺られ、聞いたことも見たことも無い駅の風景を眺めていきます。
もちろん初めて乗る路線…。


相変わらず国道も高速道路も無い、のんびりとした風景が続いています。
今は四角い建物が無秩序に乱立している市街地も、昭和30年、40年代はどこもこんな感じだったのかもしれない。
いいなあ… と思いながら揺られるうちに、いつの間にか私は寝ていました。




気がついたらどこかの駅に着いていて、列車は長時間停車していました。
見ると駅名が「備後**」とあったので、すぐさま荷物を持って下車。

それにしても、終点なのになぜ皆降りないのだろう…
もしかして、私が寝ているうちにみんな下車して代行バスに乗って行ってしまったのか?
実は今列車に乗っているお客さんは折り返しの列車に乗っているお客さんなのかも…




備後…何と読むのだろう。

しょうばる? しょうばら?

終点の駅ってこんな名前だったっけ?




備後庄原駅です。駅舎は瓦屋根でなかなか趣があります。

それにしても代行バスが見当たりませんが…
まだこないのかなあ… それとも、もう行っちゃったのかなあ…

代行バスの利用者って私だけ?


あとで時刻表を広げてやっと気がついた事実。
私は終点で降りたのではなく、全く関係の無い途中駅で下車してしまったということに。




駅前で途方に暮れてウロウロしていると、犬がこちらをジッと見ていました。
時刻は14時20分。
しばらく列車も無く、することがなくなってしまったので、犬でも写真撮ってやろうということで(^_^;)

こういう時、列車の本数が無い路線では困ってしまう…




駅前にちょっとした商店があったので、ここでおやつに「乳団子」というものを購入。
庄原名物らしいです。

バスもやってきて駅前に停まっているのですが、行き先が全く目的地と違うところみたい。
困ったことになってしまった…




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