JR発足20周年18きっぷの旅

〜国鉄時代の面影をさがして 3〜


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2007年3月4日(2日目)


0時を過ぎて日付けが変わりました。
乗船時間となり、いよいよフェリーが出航です。
まず洗面所で顔を洗ったりハミガキしたりと一応の身支度を済まし、空いてて静かなフェリーの普通客室で横になって、しばし仮眠。

寝転がって周囲を見渡すと、ノートパソコンをいじっている若者の姿が目に映りました。
よく見ると、客室のコンセントから電源を取っている。

おおお、この船には電源が設置されているのか!ざっと見渡すと、客室全てに電源コンセントが幾つも設置されている。 
ちょうどデジカメのバッテリーが残り少なくなっていたところです。まさかこんな所で充電が出来るとは何とラッキーな!

乗船時間の2時間の間、たっぷりと充電しながら徳島を目指します。




2時50分、徳島港に到着。時間通りです。寝る以外大してすることもありませんでしたが、2時間はアッという間でした。

さあ、ここから徳島駅までタクシーをかっ飛ばすのが普通ですが、そんなことしても駅で暇な時間を作るだけです。
バスなんてこんな時間走っている訳もなし。少々遠いのは承知ですが、歩くしかないようですね。
ほんの4時間ほど前まで1時間たっぷり歩いたばかりですが、まだまだ行けそうではあります。




ちなみに、これが乗ってきた「かつらぎ」という船。
なかなか快適でした。グリーン席もあります。



さて、ここから徳島駅までがアドベンチャー。髄分と道に迷うことになります。
それというのも、道が変に曲がりくねっていて、方向感覚がわからなくなってしまった…




道に迷ってしまったので、河川敷に降りて川を上っていけば少なくとも駅に近づくだろうと、歩いていた時に出会った猫。
妙に人に慣れた様子だったので、飼い猫かも。
疲れたので、歩きながらつまんでいた干しエビに、この猫ちゃんは興味津々なご様子。


地図は一応パソコンでプリントアウトしたものをポケットに持っていた筈なのですが、何故か捜しても何処にも無いし…。フェリーのりばにあった略地図と、勘と道路標識を頼りに歩くこと1時間45分。
普通に歩けば1時間強で着いたと思われます。

さすがに途中でヘタバッてもう歩けなくなってしまい、徳島県警察署の近くの公園で、非常食として持っていたおでん缶を食べて難を凌いだのはナイショ(爆)
おでん缶の本当の有難みを肌で感じた瞬間(笑)




徳島駅に着いたときはちょっとここまで歩き切ったことに感動してしまいました(^_^;)

到着が4時45分。まだ駅は開いてなかったので、外で震えながら開くのを待ちました。
いくら運動してきたとはいえ、いくら南国とはいえ、いくら暖冬とはいえ、朝は思いっきり冷えるのです。




施錠が解かれたのが5時回ってから。
それからしばらく待合室でこれからの予定を練り、徳島線の始発に乗り込みます。

上の写真は5時45分発の阿波池田行きです。非電化区間なのでディーゼルカーです。
ちなみにこれはJR四国の1000系という車両。
昨日からずっと列車に乗りっぱなしですが、考えてみれば、大糸線の糸魚川行き以来のディーゼルカー乗車です。




何か、こういう線路だらけの風景って大好きです。停まってる車両こそ違えど、これこそ国鉄時代の風景ですよね。


それにしても疲れました。夜も明けないうちから「もう充分旅をした!」ってくらい歩いた気分なのですが…
しかし、今日の旅はこれからが本番だったりします(^_^;)

さあ、待ちに待った一番列車が出発しますよ。




まっすぐ阿波池田に行っても、これから向かう予定の高知方面の普通列車が無いため、一度時間稼ぎのために途中下車をします。

途中、ザッと良さそうな駅を見繕ってみたのですが、徳島線の駅ってどこも昔のままの駅舎ばかりでどれがいいか迷ってしまい、結局選んだのが徳島線の要塞とも言える穴吹駅です。穴吹着6時45分。

うーん、こんなにオイシイ路線だって知ってたら、普段から乗ってたんだけどなあ…
土讃線では古い駅舎を軒並み建て替えられてしまっただけに、こんなに古い駅舎が残っていたことがちょっと意外でした。




ジャーン!!!

これが穴吹駅の駅舎です。
どうですか? 素晴らしいですよね? これぞ日本の駅です。来て良かったと本気で思いました。
もしこれが老朽化で建て替えられて四角い変な駅舎にでもなったら本気泣きするかも。

ちなみに、駅員さんは女性。なんて言っても最近は珍しくなくなってきましたね。

さて、7時19分まで少し時間があるので、散策が出来ます。




すぐ駅前を日本三大暴れ川、四国三郎の名で知られる吉野川が流れていました。
そこから見えた夜明け空が山に遮られて逆光になって綺麗で、思わず見惚れてしまいます。
まわりをあまり車が走らないので、とても静か。

7時前といえば、普通なら車が多く走り出す時間ですが、日曜日というのもあるのでしょうね。
しかし、徳島線の主要駅の駅前とは思えないくらい静かで、落ち着いた風景でした。




一旦駅に戻り、早々と開いていた売店を物色して、新聞とおみやげを購入。
おみやげは「ぶどう饅頭」
駅前に工場兼店舗もありました。

どんなものなのか気になる方はこちら↓を見てください。
饅頭というわりには、ちょっと変わった食感です。

http://www.tbk.or.jp/budoumannzyuu.html

そろそろ列車の来る時間なので、ホームへ移動します。




穴吹7時19分発の阿波池田行きは、何と去年登場したばかりの新型車両1500系。
今回初乗車です。




さすがに座席の設備は転換式クロスシートと格段に良くなっています。
居住性は良くなる一方、昔の列車には当たり前だった車体のデコボコはやはりありません。
どうも最近はどの会社も無駄な外観にはこだわらない傾向にあるようですね。車体も先頭以外は無塗装のままだし…

昔の列車はライトのヒサシやボンネットのようなデコボコがあったからカッコイイのに、どうして今の車両はスマートにしたがるのかなあ…。
四国の新型車両にはイマイチカッコイイのが見当たらないだけにちょっとションボリです。
うーん、車内設備は悪くないけど、我が愛しのキハ65の後釜の風貌がコレかと思うとちょっと悲しいなあ…
キハ181の後で見たキハ185みたいなショックを覚えます。
デッキを付けろとまでは言わないから、せめてヘッドマークを表示する幕くらいは増設してほしいと願いたいですね。


阿波池田到着が8時8分。のりかえて8時29分発の高知行きワンマンカーで高知に向かいます。




JR小歩危駅。小呆け駅ではございません。

この辺りの渓谷美は、いつ見てもいいものです。小歩危峡、大歩危峡は土讃線の名物。
ただ、トンネルが多いのがネックですね。

しかも、普通列車で来るとロングシート車ばかりだし…。この時乗った列車もキハ32のロングシート車。
何が悲しくて渓谷美を背にして列車に乗らなきゃならないのか。特急じゃあっという間に通過しちゃうし、トロッコ列車は各駅停車への乗り継ぎ接続が無い。

観光目的でお越しの際は途中下車して歩いて楽しむことをオススメします。但し車には充分注意しましょう。




途中の新改で長時間停車があったので、ついでに駅の観光。
これ目当てで乗っているお客さん…というか、テツな方々も結構居ました。

写真を撮ったり、トイレ休憩したり、タバコを吸ったり、駅ノートを広げたり、雑談したり…
楽しみ方は人それぞれでした。

長旅で乗り疲れた人が殆どなので、車内に残っている人は僅かです。




新改駅は四国で2箇所しかないスイッチバック駅のうちの一つ。
それを地元の方と思われるお年寄りのおばあさんがに若者に説明していたのが印象的でした。

上の写真の右側側線がスイッチバックの引込み線です。
臨時のムーンライト高知などに乗ると、行き違い列車待ち合わせで、駅に入らずにここに停車します。




10時54分、高知に到着。
それなりにのんびりと楽しめたとはいえ、たかが阿波池田から2時間20分はやはり酷ですわ(^_^;)
かと言って特急を利用したらそれこそJRの思うツボという気がして利用する気にはなれません。
もっと普通列車の輸送力に力を入れろと言いたい。


さて、この高知駅ですが、まもなく高架駅となり、昔からあるこの駅舎が建て替えとなることが既に決まっています。
その見納めとして今回はるばるやって来ました。

駅の真ん前に路面電車が来ていますが、昔はこんなところに路面電車の始発駅はありませんでした。
昔は高知駅からずっと東側に始発駅があり、最近になって駅前に移動してきたのです。

ちなみに、写真に写っている車両が昔から御馴染みの路面電車。
今はいろいろ新しいものも走っていますが、「とでん」と言えば当時はこれでした。
外見は見覚えのない真新しい冷房装置が屋根に載っかった以外はただいだい昔のまま。懐かしいです。




せっかくなので乗ってみました。
どうせ乗ってもたかが190円。大した額ではありません。
詳しいことは土電のホームページを見て下さい。

http://www.tosaden.co.jp/


内装も殆ど昔のまま。こういうのっていいです。
昔はこういう注意書きの銘版を一つ一つ興味を持って読みながら電車に揺られてたものです。
今ではどうして簡素に造られてしまうのか。注意銘版もステッカーになってしまっては興味が沸きませんし、どこか寂しいですよね。
先人のやっていたことをコスト削減のために変更するということは、何かしら犠牲が伴うということもあるのです。




適当に桟橋通り4丁目で降りて、折り返しを待ちます。
本数が多いので、すぐ列車は来ます。
さっきは気がつきませんでしたが、よく見るとパンタグラフの形が昔と違いますね。
昔は確か「ビューゲル」という、ハエタタキみたいな格好のパンタグラフだった筈。




折り返しに乗った電車は、かなり最近のものといったデザインの車両ですね。
パンタグラフも最近多いシングルアームを採用しています。
内装も真新しかったですけど、駆動系は昔ながらの吊り掛けモーターでした(笑)

これはこれで変わってていいかも…。




高知駅に戻った私は、駅の売店でおみやげなどを物色します。
ここに来るたびによく利用したこの売店も、今回で多分最後なんだろうなあ…。
いろいろと思い出もありますし、何だか涙が出てきます…。




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