〜おしゃれアルバム物語〜
猫メイドさんの憂鬱







 お嬢様は、おしゃれ学園に入学する為に、
単身上京してきて、あるお部屋で一人暮らし
を始めました。

でも、お嬢様育ちでしたので、決してお料理も、
お掃除も、上手じゃありませんでした。

 そこでお嬢様は、猫のお手伝いさんを雇って、
家事をお願いすることにしました。





 しかし、猫メイドさんにだって、生活があり
ます。

年末ギリギリまで働かせては可哀想ですので、
心優しいお嬢様は、猫メイドさんに休暇を与えて
故郷に帰してあげました。



この駅で電車のりかえニャ


…さあ大変です。

クリスマスパーティの片付けもままならない
うちに、大晦日がやって来ました。

もうお部屋は足の踏み場もない有様です。





正月二日から、お友達と旅行に行く約束もある
のです。

音を上げたお嬢様は、猫メイドさんのお家に
電報を打って、急遽呼び寄せることにしました。

猫メイドさんは、お部屋を見渡すなり、こう
言いました。





「お嬢様…。一体年末何してたんだニャ?」

お正月早々呼びつけられた猫メイドさんは、
少し不機嫌そうです。

そんな猫メイドさんをよそに、お嬢様は、
お友達と旅行に出掛けてしまいました。





お留守番を兼ねて、お嬢様のお家に寝泊り
しながら、一人で家事をこなす猫メイドさんは、
ある日、ふと霊気を感じ取りました。





実は、お嬢様が住んでいるこのお家は、
事故物件だったのです。

地縛霊と一緒に暮らすことに我慢出来なか
った猫メイドさんは、お嬢様に置手紙をして、
故郷に帰ってしまいました。





そうとも知らず、上機嫌で帰宅したお嬢様は、
誰もいないお部屋で呆然としてしまいました。





猫メイドさんが出て行ってしまった理由を、置手紙
を読んで知ったお嬢様は、知人の紹介で陰陽師を
訪ね、自ら身体を張って、除霊を試みることにした
のでした。



陰陽戦隊ジョレインジャー


お部屋に置手紙をして、お嬢様に惜別の別れを
告げた猫メイドさんは、電車に乗って座席に座る
なり、睡魔に襲われて、熟睡してしまいました。

ゆうべは霊に悩まされて、よく眠れなかったのです。

さあ大変です!





電車は、猫メイドさんがのりかえなくてはいけない
駅を通り過ぎてしまい、やがて終点の駅に着いて
しまいました。

「ヤバいニャ!寝過ごしたニャ」

猫メイドさんは、知らない駅で目を覚まし、大慌てです。

やむを得ず、猫メイドさんは、復路の運賃を支払って、
折り返しの電車に乗り、のりかえ駅まで引き返しました。

そして、電車をのりかえて、やっと故郷の駅に
辿り着きました。



やっと着いたニャ…


一方でその頃、お嬢様は、
自称「陰陽戦隊ジョレインジャー」を結成して、
除霊の儀式の真っ最中でした。

除霊は一時間とかからずに終わりました。



地縛霊をやっつけた!


お嬢様はレベルアップして、おしゃれモデルの称号
を授かり、めでたしめでたし…

とはなりませんでした。

陰陽戦隊を解散し、衣装を着替えようとしたその時、
地縛霊は正体を現したのです。



アタイに喧嘩売る気かい?

地縛霊は、やられたフリをしていただけで、その正体は、
恐ろしい魔女だったのです。

「お嬢ちゃん、アタイに喧嘩売る気かい?」

「う、ウソでしょ…こんな展開ってアリなの?
そんなの聞いてないよ…」



そんな展開聞いてないよ

お嬢様はうろたえてしまい、すっかり戦意を喪失して
しまいました。

恐ろしい魔女は、何やら呪文を唱え始めました。



IN!FULL!EN!ZA!


その呪文は「インフル」です。

もしこの呪文にかかってしまうと、インフルエンザに
感染し、高熱を引き起こす恐ろしい呪文なのです。

そして、インフルエンザウイルスに感染してしまった
お嬢様は、倒れてしまいました。

地縛霊との同居に嫌気がさして、故郷に戻った
猫メイドさんは、自分のお部屋で、子分の猫たちと
ゆっくりくつろいでいました。



ふぅ…ニャっこらせっと

すると、元メイド長の厳しい母親に、こう言われました。

「お嬢様を見捨ててノコノコと帰ってくるような子に育て
た覚えはありません。一人前になるまで帰ってこなくて
結構です。出て行きなさい!」



ごめんなさいニャ


猫メイドさんは、泣きじゃくって何度も許しを請い
ましたが、もう二度と玄関の扉が開くことは
ありませんでした。





猫メイドさんは、目を腫らしながら、5キロ離れた駅
の方へと歩いていきました。

一方、恐ろしい魔女のせいで、病魔に冒された
お嬢様は、内科を受診しました。



具合悪い…ゲホゲホ


その結果は、思った通り「インフルエンザ」でした。

お嬢様は、お部屋に戻っても、もう猫メイドさんは
いません。

このままでは、看病してもらうどころか、お食事も、
お部屋のお掃除もままなりません。緊急事態です。

「ゲホゲホ…おでがい、すぐにぎで…ゲホッゲホッ…
しにぞう」





お嬢様は、妹さんに電話して、お手伝いに来てもらう
ことにしました。



行ってきま〜す!

「お姉ちゃんのところ行ってくるね」

妹さんは、自宅を出て、まず最初に、ご近所の神社を
尋ねました。



すみませ〜ん、お守り下さい


お姉ちゃん想いの妹さんは、お姉ちゃんの病気が
早く治るように、二度と病気に罹ったりしないように
と願掛けをし、さらに、病気平癒のお守りを授かった
のでした。

お母さんに家を追い出され、他に行く当てもない
猫メイドさんは、電車を乗り継いで、再びお嬢様の
家の玄関前まで戻って来ました。

夕方になり、辺りは暗くなり始めていました。

猫メイドさんは、本当はとても不安でした。





「お嬢様はきっと怒ってるに違いないニャ…」

そう思うと、お嬢様に合わせる顔がなく、呼び鈴を
押す勇気なんて出ないのでした。





猫メイドさんは、すぐ近くの公園まで行き、これから
どうしようかと考え込んでいると、小雨がパラパラと
降ってきました。

「ニャー、雨が降ってきたニャ、困ったニャ…」

猫メイドさんは、屋根のついたベンチに腰かけ、
雨に濡れて、車のライトでキラキラ光る通りを
ボーッと眺めていました。

すると、見覚えのある女の子が傘をさして、すぐ
目の前の歩道を歩いているのが見えました。

「まずいニャ!お嬢様の妹さんニャ…」

猫メイドさんは、とっさに後ろを向いてやり過ごそう
としましたが、耳の目立つフードは、隠しようが
ありませんでした。





「あら?あそこにいるのは…」

妹さんは、猫耳フードの背後に近づいて、ヒョイと顔を
覗き込みました。

すぐに猫メイドさんは、見つかってしまいました。

「何してるの?」

猫メイドさんは、妹さんに、今まであったことを、
全て打ち明けました。

「お姉ちゃんはそんなことで怒ったりしないよ。
むしろ淋しいって言ってたよ。そんなことより、
お姉ちゃんが熱を出して大変みたいなの。
もしよかったら手を貸してちょうだい!」

こうして猫メイドさんは、妹さんに説得され、再び
お嬢様に仕えることになったのでした。





「遅くなってごめーん」

妹さんは玄関を開けて明かりをつけ、叫びましたが、
返事はありませんでした。

「チッ!もう少しだったのに…面倒なのが来やがった!」





お嬢様に取り憑いて苦しめていた地縛霊(恐ろしい魔女)
が、お嬢様のお部屋から逃げ出して、どこかに行って
しまいました。

妹さんが持っている病気平癒のお守りが
苦手だったのです。

妹さんはマスクをし、お嬢様の寝室に入って、
熱を測ってきました。





「どうしよう…お姉ちゃん凄い熱なの。クスリは飲んだ
みたいだけど、何も食べてないみたい」

猫メイドさんは、割烹着に着替えました。
そして、加湿器を動かし、卵酒をつくり、
お嬢様に氷枕を与えました。





「やっとお嬢様がお休みになったみたいだニャ…
それじゃ始めるかニャ」

猫メイドさんは、お嬢様への罪滅ぼしのつもりでしたが、
妹さんは、そんな猫メイドさんのテキパキとした働きっぷり
に、心から関心するのでした。

猫メイドさんは、キッチンに入って、お米をとぎ
始めました。





「お粥作りたいニャ。お嬢様が起きたら食べてもらおうと
思うニャ。このメモに書いてあるものを買ってきて
ほしいニャ」

「うんわかった。じゃあひとっ走り買い出し行ってくるね」



☆〜お嬢様夢オチシリーズ〜☆


その頃、お嬢様は、夢を見ていました…。





「お姉ちゃん!私、社長になったんだよ。凄いでしょ」

それは、スーツ姿の妹さんが、猫メイドさんを雇って
お客さんへ派遣するという、「猫メイド株式会社」を
設立して、会長兼社長に就任した夢でした。





猫メイドさんは、販促ポスターや、CMの撮影で
毎日忙しそうです。

猫メイドさんは、やっと撮影のお仕事が終わり、
オフィスに戻ると、待ち受けていたのは、
転勤辞令でした。





猫メイドさんは言葉を失って、目が点になりました。

「いきなりかニャ」

妹さんは、ニッコリ首を縦に振って頷きました。

猫メイドさんは言いました。

「じゃあ…今お仕えしているお嬢様は…どうなるニャ?」

「今日を以て契約終了。もっと条件のいいお客さん
からの依頼があるから、猫メイドさんにはそっちに
行ってもらいたいの」

こうしてお嬢様は、猫メイドさんと突然お別れすることに
なってしまいました。

…駅には、発車ベルが鳴り響いています。





ホームには、猫メイドさんの転勤先に向かう寝台特急列車
が待機していて、今まさに発車しようとしています。

「お嬢様、いつまでもお元気でいてほしいニャ…
もう乗らないといけないニャ」

猫メイドさんは、列車のデッキで、
小さく手を振りました。

でも、その表情は、とても、とても辛そうでした。

「嫌!猫メイドさんとまたお別れなんて、私、絶対嫌!」

お嬢様の叫びも空しく、列車のドアは閉まってしまいました。

列車は、お別れを惜しむかのように、ゆっくり、ゆっくりと
動き出しました。

「嫌だ!行かないで!」

お嬢様は、ホームの突き当りまで猫メイドさんの姿を
追いかけていきました。


☆〜お嬢様夢オチシリーズ〜 完☆


「ハッ!!!」

お嬢様は、ベットから飛び起きました。





「…。な、なんだ…夢…だったのかな?」

お嬢様の顔には涙が頬を伝い、
汗をびっしょりとかいています。

お嬢様は、カーテンが引かれたままの暗い寝室に、
呆然と立ち尽くしていました。

カーテンの向こうは、少し明るくなり始めていました。

お嬢様は、フラつきながら猫メイドさんのところへ
駆け寄りました。

夢で見たことが真実になったりしないか、心配だったのです。





「あ、お嬢様…………血相変えてどうしたんだニャ?」

猫メイドさんが、キッチンでお料理をしていました。

コンロでは土鍋がコトコト音を立て、お粥が
吹きこぼれています。

居間では、妹さんがソファーに横になって、
寝息を立てていました。

「もう出て行ったりしないニャ。お嬢様にしっかり
お仕えするようにと、お母様にきつく言われてるニャ。
こないだは申し訳なかったニャ」

「なんだ…よかった…」

お嬢様は、緊張が解けたかのように、ヘナヘナと
座り込んでしまいました。

すると、話し声に気が付いた妹さんが、起きてきました。





「おはよ…何事?」

寝惚けた顔で、目をこすり、キッチンの明かりが
まぶしそうに顔をしかめています。

「あたしが社長?なあにそれ」

妹さんは体温計を救急箱に仕舞いながら笑いました。

「お姉ちゃん、やっと熱が下がってきたみたいだね。
よかった」

猫メイドさんが、土鍋をかき混ぜながら言いました。

「お粥作ったけど、食べてみるかニャ?」

「うん、何だか少し食欲出てきたみたい」

お嬢様に気の毒なので、今日は猫メイドさんたち
も、お粥です。

猫メイドさん特製のお粥が入った土鍋を、妹さんが
テーブルに置くと、お嬢様は言いました。

「ねえ猫メイドさん…お食事を寝室に運んでほしいの」

「お姉ちゃん!お行儀悪いよ」

妹さんは、ムッとした顔をしました。

「違うの。みんなに病気移したくないから」

「かしこまったニャ」

猫メイドさんは、お嬢様の言う通り、お粥を盛った器を
お盆に載せて、寝室に運びました。





「まだ熱いと思うニャ。ふーふーして食べてニャ」

「うん…ふ〜…ふ〜…」

「どうかニャ?美味しいかニャ?」

「うん、おいしい」

「あとで盆を下げにくるニャ。食べ終わったらお休みに
なってニャ」

「ありがとう」

お洋服のお洗濯やら、おしゃれ学園への学費の
振り込みやら、お嬢様がやり残していた家事を
丸一日がかりでこなした猫メイドさん。

妹さんは、猫メイドさんのお手伝いをしつつ、
合間を見て学校の宿題をやっていたら、
あっという間に日が暮れてきました。

洗濯物を畳みながら、猫メイドさんは、宿題を
やっつけている妹さんに言いました。

「そろそろ帰らなくていいのかニャ?」

「もうこんな時間かあ…」

妹さんは、名残惜しそうに帰り支度を始めました。

猫メイドさんは、玄関先まで妹さんを見送りました。

「気を付けて帰ってニャ」





「うん…じゃあ、お姉ちゃんをよろしく。
今度暇があるときにゆっくりお話ししようね」

猫メイドさんは、妹さんが見えなくなるまで
手をニギニギして見送りました。

翌日になると、お嬢様の熱はだいぶ下がり、
食欲も出てきました。

「う〜ん!もう治ったかなあ。だいぶよくなった感じ」





お嬢様は悪夢から解き放たれたように、
爽やかな伸びをしました。

「お嬢様、無理は禁物ニャ!もうしばらくお休み
くださいニャ」

「寝疲れて背骨が痛いよ。それにもう眠くないし…」

猫メイドさんは、駄々をこねるお嬢様の背中を押して、
無理やり寝室に連れて行きました。

ピンポーン♪

誰かお客さん来たようです。

猫メイドさんが玄関のドアから覗くと、お嬢様と同じ
くらいの背格好の女の子が立っています。

「どちら様ニャ?」

どうやら、おしゃれ学園の同級生の子が
お見舞いに訪れたようです。

「お嬢様、お友達がお見舞いに来てるニャ。
どうしようかニャ?」

「入って貰って!お願い!」

さすがに寝疲れて、ベッドに横になることにウンザリ
していたお嬢様は、ラッキーとばかりに
お友達を招き入れました。





「インフルエンザにかかっちゃったんだって?大丈夫?」

「うん、もうこの通り!明日は学校行こうと思ってるの」


猫メイドさんは、お見舞いに来たお友達から戴いた
切り花を花瓶に生けながら、お嬢様にこう言いました。

「お嬢様、まだ学校に行っちゃダメニャ!
もう一日お休みしてもらうニャ!」

「…猫メイドさんっていつもこんな調子なの。」

お嬢様は、苦笑いしました。

「はぁ…あさってから学校に行きます
って、先生に言っといて」

お嬢様は、お友達にそう言伝を頼んで、しぶしぶ
ベッドに戻って布団をかぶりました。





お嬢様のお友達は、別れ際に、猫メイドさんに
3冊のノートを渡しました。

「これ、授業で書いたノートですので渡しといて
ください。それじゃお大事に」

「お嬢様はいいお友達を作ったニャ…」

猫メイドさんは、そうつぶやきました。


「行ってきま〜す!」

翌々日から、お嬢様はいつも通り、おしゃれ学園に
通えるようになりました。

玄関の外では、お嬢様のお友達が待っています。

「気を付けて行ってらっしゃいニャ」

猫メイドさんは、手をニギニギしながら、
お嬢様を笑顔で見送りました。






おわり

※お嬢様の妹の目について、一部違う画像が含まれていますが、
「猫メイドさんの憂鬱」での旧設定と、「続・猫メイドさんの憂鬱」
スタート後の新設定画像が入り混じっているためでございます。
削除後に新しく追加したアルバム画像に関しては、新設定を
適用しました。

おしゃ泥のアルバムにて「続・猫メイドさんの憂鬱」スタート後、
「猫メイドさんの憂鬱」の一部のアルバムを削除したため、この
ような新旧画像が入り混じる形となっています。あらかじめ
ご了承ください<(_ _)>

また、おしゃ泥の時には無かったアルバム画像を、こちらで
新たに追加した画像なんかもございます。


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