命懸けの峠越え
2005年04月10日(日)
あれからどれ程歩いたでしょうか。
相変わらず獣の気配はするものの、間近に居る様子はもう無さそうです。やがて右手から茶屋址、更にますますキツくなってゆく坂道を十分ほど行くと、懐中電灯が休憩所の屋根を映し出しました。
ふと時刻を気にすると、もうすぐ2時になろうかという時刻。いよいよ丑三つ時です。駅から旧道に入った途中にあった観光マップから推測すると、そろそろ例のトンネルが見えてきてもおかしくない頃です。正にグッドタイミングな位置にトンネルがあるものです。この休憩所にも観光マップが設置されていて、マップを見るとやはりトンネルがもうすぐそこにあるようです。
歩きっ放しで疲れたので暫くこの休憩場所で休み、2時になるのを待って出発とします。
茶屋跡と言っても、茶屋の残骸が残っているわけではなかった。
休憩所で休んでいても、こんなに真っ暗では怖くて落ち着きませぬ。
休憩所を出発すると、やがてさっき野うさぎと遭遇した所からの旧峠道が右手から合流し、その先に例のトンネルが遂に姿を現しました。
ここが「でる」という噂の旧笹子トンネルです。恐怖も最高潮に達していますが、何だか徐々にその感覚に麻痺してきた感もあったり…。
もしかしたらここで心霊写真が撮れるかもしれないので、デジカメを準備して何枚か撮影してみることにしました。その最中、やけに周りの茂みでガサガサと未確認動物がうごめいてて薄気味が悪かったのですが、気にするとますます怖くなるだけなので極力無視を決め込んで、デジカメを握りしめ、照明が一つもない真っ暗なトンネルの中へ死ぬ覚悟で突入します。
野ウサギの出た峠道が、ここで旧国道と合流しているようです。
合流地点の斜向かいに、もう一つ峠道が出現。
写真が暗くて分かり辛いですが、旧笹子トンネルです。中には明かりが一つも無い…。
トンネルの中に入ると、出口の方からこちらに向かって風が吹き込んでいました。入って早々、トンネルの天井から水滴が落ちてきて私の手に当たり、思わず震え上がってしまいました。
トンネルの壁から手が出てこないかとか、私以外の足音がしないかとか、恐怖に怯えている時っていろんなことを考えてしまいますね。
旧笹子トンネルの中は、思ったほどジメジメした感がありませんでした。
約5分で出口です。トンネルの中で事故死した女の子の声が聞こえてくるという噂でしたが…。
結局何事もなく無事に出てこれました。およそ五分とはいえ、思ったより長く感じました。
ビクビク怯えながら潜ったトンネルでしたが、何も出なかったし、何も聞こえなかったし、何も写らなかった。何も写っていませんよね、ね!
白く丸く写ってるのはきっと花粉ですっっ!!
トンネルを抜けてしまったら、張り詰めていた神経が一気に緩み、足取りも軽やかに進んで行きます。それもそのはず。この辺りから下り坂になっているようなのですよ。周りが真っ暗なので、視覚で登りか下りかの判別が出来んのですよ。
焼け焦げた車。その右側に人の顔のようなものが!!!
暫く進むと退避所のような場所があり、そこに黒こげの車が放置されていて不気味でした。
ちょっと写真でも撮ってみようかとシャッターを切る。もっと近づいて撮ればよかったんだけど、やっぱ薄気味悪くってね…。もしこの焼けた車の中に誰かが居たら超イヤだし(汗)
その画像をあとで確認して分かったのですが、車の右側、写真の外枠スレスレの辺りに何となく人の顔? みたいなものが浮かび上がっています。暗いのでハッキリという訳ではないのですが…。
デジカメの再生画像ではもう少し画像が明るいのですが、なぜ画像をホームページに貼るとこんなに暗くなっちゃうかなあ…。
後日、問題の写真の画像をズームして、さらに明るくしてみた(右側の写真)のですが、心霊写真かどうか微妙〜ッ(笑)
再び旧峠道が脇から出現! 道しるべがありますが、意味がよくわかりません…。
トンネルを抜けてからというもの、なが〜い下り道です。下りなので余裕で歩けるんぢゃないかと思いがちなのですけど、下りの方が足に負担がかかって逆に疲れます。20分も下るともう足がへろへろです。
途中、再び現れた旧峠道を写真に撮りましたが、やっぱり白いつぶつぶが写ります。
曇ってきたのか、気がついた時にはとうとう星すら見えなくなっていました。本当に辺りは真っ暗で、ライトを消したら目を瞑ったみたいに何も見えません。
笹子側の通行止め地点まで来ました。
間もなく午前3時になろうかという頃、今度は笹子側の通行止め地点にさしかかりました。ここまで来ればもう少しで人里が見えてくるのでしょうか?
いえいえ、ここから歩いて最初の街灯が見えてくるまでの道のりの長いこと長いこと…。急な下りで足がすぐ疲れるので休み休み歩き、30分以上かかってようやく街の明かりが遠くにぼちぼち見えてきました。最初の明かりが見えた時の感動は目頭が熱くなるくらいですよ。長い悪夢から開放されたような思いです。
最初の街の明かりを過ぎてしばらく街路地を進むと、いよいよ国道20号線との合流ポイントに辿り着きます。
合流地点を左へ進むと新笹子トンネル、右へ進むと笹子駅方面。新笹子トンネルも「でる」という噂がありますが、今日はさすがにこれ以上散策する根性はないので笹子駅方面へ。機会があればまた行ってみよう。怖いけど…。
このあと、笹子駅に行く途中にあるファミリーマートに寄って朝食を調達、しばし時間を潰し、疲れもちょっとだけ取れたところで笹子駅に向かって再び歩き始めます。しかしここから結構距離あります。時計で測ったわけではないので正確ではありませんが、15〜20分くらいかかったでしょうか…。
そしてやっと笹子駅が見えてきました。到着する頃には空が明るくなってきていました。
笹子駅前に到着です。星が見えなくなったと思ったら、やっぱり空が曇っていたんですね。
笹子駅の駅名標を撮りたかったのに、まだ暗くて写りませんでした。
つづきを見る 帰還する