JR発足20周年18きっぷの旅

〜国鉄時代の面影をさがして〜


JR発足から20年。
あれから沢山の駅舎が建て替えられ、国鉄車両が姿を消しました。
かつての国鉄だった頃の面影って、現在どれだけ残っているのだろうか…
今でも当時と変わらない旅の味わいというものを感じることが出来るのだろうか…
そんなものを捜す旅です。



2007年3月3日(1日目)

まだ草木も眠る午前2時の甲府駅。

普段ならば殆ど人影のない時間ですが、なぜか駅には数人の旅行客がすでに集まってきていました。
中には駅を寝床にしている者の姿も…
みんなムーンライト客だろうか?

それと、もう一つ甲府駅に相応しくない異変が…

なぜかディーゼルの煙が駅に蔓延しています。
いつから中央線にディーゼルカーが来るようになったんだ…




ホームに下りてみると、どこかで見たような客車列車がチョコレート色のEF64に牽引されて2番ホームに停車していました。
この列車の電源車からの煙だったようです…




たしかこのイベント専用車両、最近引退したとか、どっかのブログで見たような…

まだ廃車されずに残っていたんですね。しかもこんな夜中に中央線に来ていたなんて、なんという偶然なのでしょうか。
老朽化で廃車は仕方無いにしても、古い車両を整備して使っている会社も沢山あることですし、頑張ってもらいたかったところなのですけど…

もう客車という時代ではないのもわかりますが、非常に残念です。
客車の製造なんてもうやっていませんし、代替車は電車になることでしょう。




どうやら鉄道整備員の方々が貸し切っているようです。
さよなら運転していたようですね。
写真撮ってたら、中でオッチャンが手を振っていたので振り返してやりました(^_^;)

電源車の轟音と蔓延するディーゼルの臭い。客車列車らしくて好きですね。国鉄時代には当たり前だった臭いです。




やがて1番ホームには私が乗る予定の臨時夜行列車「ムーンライト信州」が到着。
車両は、かつて碓氷峠などで活躍していた189系。その国鉄色です。
国鉄の面影を探す旅にしては上々の滑り出しでしょう。

指定された席に着こうとすると、毎度おなじみのようにオッサンが寝床として占領。
起こして退いてもらって着席します。

居心地が悪いのでしょう…車掌の巡回が終わると、後ろの空席に行って寝ていました。
居心地悪いのはコッチも一緒なんですがね…。

因みにこの列車、松本から大糸線に入って白馬まで向かいます。

ところで、なぜ「大糸線」と言うのでしょう…
松本と糸魚川を結んでいるのだから「松糸線」って言いそうですよね。
よくわかりませんが、昔は大町と糸魚川を結んでいたのかもしれませんね。




まだ夜も明けない午前5時8分に信濃大町に到着。
ここで快速に乗り換えるために下車し、しばらく休憩します。

ホントは終点の白馬までムーンライトに乗っててもよかったのですが、どうせ最終的に南小谷駅で糸魚川行きの列車を待つことになるので、それなら途中下車でもしながらゆっくり南小谷を目指そうと…。
ここで降りてしまったのは、こういう訳でございます。




白馬駅で降りれば、乗り換え時間の合間に駅前ターミナルで販売しているおにぎりでも買って食べるところなのですが、こちらの信濃大町駅ではそういうことが出来ないようですね。居たのは客待ちのタクシーだけ。期待していただけに何だかガッカリです。

開いてる店なんて一軒も無く、自動販売機でジュースを買って駅に戻ることくらいしか出来ませんでした。
あーあ、つまんない…




やがて南小谷行きの快速列車が入線となったので、乗車。
列車はE127の2両編成。通常の普通列車と同じワンマン仕様の車両でした。

このまま南小谷まで行っても待つだけなので、まだ行ったことの無い簗場駅に行ってみることにしました。
地図で確認すると、駅前には仁科3湖の一つ、中綱湖があるはず…。

今の時期ならば雪景色が綺麗なことでしょう。




簗場駅に到着。
まだ明るくなってきませんでした。うーん、これじゃ湖を眺めるのは厳しいかもです。

こんな時間にここで降りるのは私だけかと思いきや、明らかに聖地巡礼者と思われる若い男3人組が下車し、木崎湖の方角へと歩いて行きました。




簗場駅です。画像に補正をかけたので少し明るく見えますが、本当はもっと暗かったです。




中綱湖。結氷した上にうっすら雪化粧しているのが、目が慣れてくるとだんだん見えてきました。
景色がとても美しかったです。来てよかったですね。

なんでも、犬神家の一族などの映画のロケにもこの湖が使われたとか…。




中綱湖北岸です。
こちらの方は結氷していませんでした。
暖冬の影響で解けてしまったのか、それとも未だ結氷せずに春を迎えてしまうのか…。

風が全く無かったというのもありますが、歩いていても思っていたより寒いとか感じませんでした。

時刻はまだ6時前。
せっかくなので、このまま青木湖まで湖畔を歩いて、臨時駅のヤナバスキー場前駅で6時32分発の南小谷行きを拾います。
距離は少々ありますが、時間的に無理はありません。




時刻は6時10分。青木湖に到着。だいぶ明るくなってきました。

それにしても、こちらはこれまた水が随分少ない上に、結氷すらしていません。
やはり今年はちょっと異常ですね。春先の雪解け水も期待出来ないだけに今後の渇水が心配です。




ヤナバスキー場前駅まで移動する途中の水路にふきのとうが生えているのを発見。
春ですなあ…
これも水路がコンクリートで固められていないからこそあり得る風景です。
何でもかんでもコンクリートで固めてしまう世の中に疑問と不満を抱く今日この頃…




6時22分、ヤナバスキー場前駅に到着。余裕で間に合いましたね。

ここは3月17日を過ぎると列車が通過してしまうという、期間限定の臨時駅。
早い時間にも関わらず、この駅目当てに訪問している鉄道マニアの姿もちらほら見られました。




定刻に南小谷行き普通列車が到着。E127系です。
これに乗って終点の南小谷へと向かいます。




南小谷に到着。
40分近く待ち時間があるので一旦改札を出て、ストーブや炬燵があって暖かい待合室で暫く時間を潰します。
しかし、待合室はそんなお客さんで溢れていて、とても窮屈で居心地悪い…

駅前に何軒か店もありますが、この時間は全て閉まっていますしねぇ…。
何もすることなくて暇でした。

みどりの窓口にはなぜか富山の名物駅弁「ますのすし」が置かれています。
ここで「ますのすし」を調達する人もいました。




南小谷に糸魚川行きワンマン列車が入線。今や貴重になってしまったキハ52です。
しかも国鉄色のツートンカラー、それもクリームと青です。
カメラを構える人多数。やはりお客さんの大半は旅行客、うち半数はテツと思われます…




さて、出発です。結構途中の駅で下車していくテツの姿を見掛けました。
逆に乗ってくるお客さんは殆どいません。
それでも車内は混み合ったままで、終始立ちっぱなしで終点まで乗車しました。
せめて2両は繋げてほしいよな…。

終点の糸魚川からはいよいよJR西日本区域になります。




8時48分、終点の糸魚川に到着。
南小谷にいた頃は晴れてても寒かったですが、糸魚川では日差しが暖かくてポカポカしていました。




レンガの建物は昔の機関庫でしょうか。
今は気動車の車庫になっているようですね。
朱とクリームのツートンカラーのキハ52が見えています。
これにカメラを向ける人も当然私だけではありません。




糸魚川からは、これに乗って富山に向かいます。
419系の3両編成。かつての581系を近郊化改造した電車です。

8時55分の発車まで車内で待つことにします。




419系の車内はこんな感じ。
ボックスシートは「急行きたぐに」に使われている座席車と同じもので、座り心地は抜群。
シートピッチもグリーン車並に広いですので、かなりゆったりと座ることが出来ます。
お弁当食べながら車内でくつろぐには最高ですよ。




デッキに近く、人の出入りの多い車端部はロングシート化されています。
急行列車などから近郊化改造された車両は概ねこんな感じです。
しかし、今はもう北陸本線くらいでしか見られなくなってしまいました。

もともとが寝台特急電車なので、よく見ると天井が高いのがわかります。




テーブルの下にはセンヌキ。
缶ジュースが普及していなかった当時の車両であることを物語っています。
昔はビンのジュースが売店で売られているのが一般的でした。

ちょっと車内を見回すだけでも懐かしいですよ。
こんな列車で富山まで向かいます。
ちなみに、窓が開けられるユニット窓もありますが、現在は開かないように細工されていました。




10時過ぎに富山駅到着。
こんどは向こうに停まっている電車に乗り換えます。
扉の位置から察するに、411系ですね。こんどは純粋な近郊形電車ですが、こちらも歴史の古い国鉄車両です。




階段を渡ってのりばまでやってきました。
うーん、結構乗ってますね。ボックスシート独り占めは諦めるしかなさそうです。

この電車で金沢まで行きます。乗車時間は1時間くらいです。
ロングシートに座って行くくらいなら扉付近に立つのが一番です。
その方が景色が一望出来ます。




製造銘版を見たら、何と昭和37年製造。凄ッ…
私よりもずっと先輩でした…




金沢到着直前の車窓に、建設真っ最中の北陸新幹線の高架が出現。
せっかくの車窓がコンクリート橋脚で隠れてしまいました。日当たりも悪くなり、実に目障りです。




金沢へ到着。11時16分。
駅弁を購入し、11時35分発の小松行き普通電車にのりかえ。再び急行形電車です。
ほら、電車の前灯がシールドビーム化されていない、昔ながらの懐かしいデカ目ですよ。

デカ目とは、お目目のように大きいライトという意味です。最近の目つきの悪い電車よりずっとカワイイですよね。




ちょっとお名残り惜しいですが、金沢から1駅で途中下車してしまいました。
特に用があった訳でもないのですが…。

時刻は11時39分。一見無計画に降りているようですけど、このまま電車に乗っても小松で後続列車にのりかえだという計算あっての途中下車です。

西金沢駅の待合室は、思ったより広い。自販機も充実していました。
とりあえず改札を出て駅前でも散策してみましょうかね…。




駅のすぐお隣には、北陸鉄道の新西金沢駅がありました。
西金沢駅って、一応立派なのりかえターミナルだったんですね。

北陸鉄道にもちょっと乗ってみようかと思いましたが、時刻を調べてみたら次の福井行きの来る時間までに新西金沢駅まで帰って来れそうにないので諦めました。




駅前踏切です。
一見、写真ではごく普通の踏切ですが、ここの踏切はちょっと警告音が変わっていました。
一般的な踏切は電子ベルがカンカンと鳴り響きますが、ここの踏切はチンチン電車の鐘の音みたいにチンチンと鳴り響きます。
金沢にお越しの際は是非聞いてみてください。




駅前の小さな公園。
なぜこんなところにタンベルが?
…と思ったら、機関車の車輪のようです。詳しいことは説明書きが見当たらなかったのでわかりません。




再び駅のホームへと戻ってまいりました。次の西金沢12時19分発の福井行きを待ちます。

ホームを特急サンダーバードが高速で通過します。
ふだん鈍行しか乗らない私からすれば、特急は充分早い。こんな立派な特急が通っているのに新幹線が必要な意味がよくわからないです。
北陸新幹線が開業すれば、この特急も廃止でしょうね。まだ新しいのに…




福井行き普通列車は419系でした。
この電車に乗って福井まで向かいます。

座席の設備がよくて、さらに昔から慣れ親しんだ国鉄車両ということになると、同じ電車に乗るにしてもワクワク感が全然違います。




独り占めという訳にはいきませんでしたが、一応ボックスシートを確保したのでお弁当を広げることにしました。
実はこれ、こないだテレビで紹介されていたので試しに購入した駅弁(爆)
食べた感想は後ほどブログにて写真つきで公開します…。




福井駅13時38分到着。
他の駅に比べ、まるで最近建て替えましたといった感じの真新しい駅のホーム。新幹線の駅並に設備が充実した高架駅です。
北陸新幹線開業を意識して、前倒し建設したといった感覚かもしれませんね。

つぎに乗り換える電車が右の小豆色の電車。
待ちに待った国鉄色ですよ、国鉄色!

でも意外にカメラ小僧がいないです…なぜ?




国鉄色の475系、なんと洗面台が撤去されずに残っていました。
ちゃんと水も補給されています。管理されている証拠ですね。
近郊化改造されるとまず洗面所は撤去されることが殆どなので、こうして残っているのを見ると感激です。

現存する国鉄電車の急行形車両で最も原型に近い車両かもしれません。
嬉しさのあまり、ここで歯なんて磨いてみたりしました。はははは…

誰にも見られなかったからいいや。




先頭デッキです。思わずかぶりつきで風景などを眺めながら乗っていました。
デッキのある普通列車なんて、いまどき殆どありませんよね。
あっても北海道の一部車両のような防寒対策用のデッキか、特急格下げ車両くらいです。
乗り降りに時間がかかってダイヤの乱れをつくるというのが理由でしょうが、こういう列車は今後も欲しいです。
そんな意味でも北陸本線のデッキ付き車両は大変貴重ですね。

デッキ付きは普通列車でも鉄道車両としての貫禄が違うし、国鉄時代に多くあった旅情を醸し出します。
なにより携帯電話を使いたい時なんて便利なんですよね。




客車の出入り口、デッキの引き戸の上に注目。
かつて自由席と指定席の表示や、号車番号札を掲げていた形跡が残っています。
この部分だけを見ていると、吊り革と冷房以外は殆ど変わっていないように思いますね。
感無量です。



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