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  今でも、ありありと浮かんでくる、幼いころの1シーン。
 母が、私の黄色いワンピースを縫っていて、そばで眺めていた丸っこい手の動き、足踏みミシンの音。
 忙しい母は、なかなか私の服を作ってくれない。
 既製服嫌いで買ってもくれないから、いつも着たきり雀。
  小学三年の頃、同級生の女の子がとても素敵なニットのジャケットを着ていた。
 いろんな色の格子柄で、既製服だった。
 みんなが寄ってきて「いいね」「素敵だね」と言っていたけど、私はうらやましいとは思わなかった。
  母がいつも既製品を見下していたし、私自身【いつも着たきり】に慣れてしまっていたので。
 服は洗い替えがあって、清潔であればいいのだと思っていた。
 でも,本心ではなかった。
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