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戦後、男性が戦地に向かう中、玄関には女性たちが外まで溢れたという。
父は和裁、母は洋裁の教師の資格のあることが噂になったからで、苦学生も多く受け入れていた。
小学五年生くらいだったある日、玄関の上り口で座っている父に、母がそばで何か言っている。
「どうしたの」というと母が振り向いて「行きたくない」っていうからさ、と笑う。
父が戦後の混乱期に苦学生を多く養成したことを知っている人たちが「なんだ、まだ貰ってないのか」
と役所に行って手続してくれた。
そんなわけで賞を頂けることになったので、出かけるところだという。
市からも国からも頂いて母は緊張気味、微笑む父の写真の胸に大きな白いバラのリボン
いい夫婦だったなあと遺影を見る度に思う。
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