北総線観察記@エムサ菌総合研究所
耐震補強工事

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 現在の新設鉄道で必須条件となっている感もある「道路との交差は立体であること」が、 北総線では第1期線の計画段階から盛り込まれており、このうち千葉ニュータウン内の区間 では掘割区間が多く、必然的に陸橋との交差が多くなっています。
 一方で、阪神淡路大震災をきっかけとして建築物の耐震化がクローズアップされました。  鉄道の施設も例外ではなく、特に新幹線や都心部の在来線、地下鉄などでは比較的早いうち から耐震補強工事が精力的に行なわれていました。 高架橋の橋脚の補強やトンネル内の柱の 補強・増設などがそれで、特に後者は鉄道を利用する中でも目にする機会が多いと思われます。
 北総線においては、新しい空港アクセス路線になることで重要度が増し、また地震発生時に 交差する陸橋が崩れ落ちることで支障となることを避けるためか、陸橋に対する耐震補強工事が 成田新高速鉄道の整備事業の一環として比較的早いうちに行なわれていました。 しかし、 他の工事のように施工の前後が比較できるような写真を残していないので、工事の痕跡が わかるような施工後の写真を載せてみることにします。

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2009.7.18 西白井

 まずは鉄道と交差する道路側の耐震補強工事から見てみます。
 画像は西白井駅上り方で交差する県道の陸橋の耐震補強工事『後』の様子です。 橋脚を 太くしかつ橋桁を支える部分の奥行きも大きくしているようで、コンクリートの色があからさま に違っているところに、工事の痕跡を見出せます。
 この種の工事の際、陸橋の場所と北総線に沿って走る国道464号線の位置関係によっては 国道の車線が一時的に左右に少しずれたり、車線規制がされていました。 工事内容を知らせる べく立てられた看板には『成田新高速鉄道整備に関わる・・・』などと書かれていて、国道や 県道を直接整備するものではないことを示していました。

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2009.7.18 西白井付近

 やはりというか当然というか、陸橋の落下は悉く避けたいようで、耐震化工事は歩行者用の 陸橋もその対象になっていました。
 画像は西白井駅の駅舎へアプローチする陸橋で、橋脚が太くなり、橋桁を支える部分の奥行き も増え、さらに橋桁が落ちないようにする部品も取り付けられています。 橋脚の上の部分に ある『くびれ』が、耐震補強済みであることを物語っているようです。 しかし何でくびれを 残したんだろう?
 ここの工事中の様子を何度か見たことがありますが、橋脚部分に鋼鉄製の骨 ( 曲面部分にはそれに合わせたRのもの) を入れ、型枠を作ってコンクリートを流し込んで 覆っていたように記憶しています。

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2009.11.1 新鎌ヶ谷−西白井

 歩道橋の落橋防止には、ケーブル状の部材を用いた工法も採用されています。 同じような 部材が、この歩道橋の橋脚と接する個所の橋桁相互間にも用いられています。
 余談ですが、この画像は壁とフェンスの隙間からデジカメを差し出して撮影しました。  このようなアングルでの撮影が簡単にできるのも、デジカメの強みですね。

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2010.4.26 新鎌ヶ谷−西白井

 線路が架道橋となっている場合の耐震補強 (と思われる) の例です。
 上に掲げた陸橋の場合と異なり、橋桁底の凹部に合わせたコンクリートの箱のようなものが 橋脚に取り付けられているのがわかります。 おそらく地震の揺れに伴う橋桁の落下を防ぐ ためのものと思われます。
 ちなみにこの箱状のものは、新鎌ヶ谷駅の北総駅〜東武駅を結ぶ連絡通路の階段部分で、 暗いもののもっと間近に見ることができます。

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2010.5.7 エムサ菌