恐怖の大崩散策!〜死を呼ぶ国道150号大崩線〜
2005.05.03訪問
今日は鉄道の旅と、釣りを同時に楽しもうという、何とも欲張りな試みです。
荷物はできるだけ少なくする必要があるので、時期的には早いけど狙いは興津川河口のハゼとし、散策コースは眺めが良いという静岡の用宗〜焼津の浜当目へと続いている国道150号大崩線にしました。
このコースは「出る」という噂があるため、夜の散策も考えていたのですが、道が狭いらしいし、第一、笹子峠の時と違って車が通行するので危険は避けなくてはいけない。車に轢かれて私が「出る」ようになっても仕方ありません。
そんなわけで出発。荷物は小型クーラーと釣竿、そして時刻表などを入れたかばん。必須アイテムのカメラと携帯電話はポケットです。散策時に必要のないクーラーは駅のロッカーにでも入れておけば問題なしですが、竿は入りません。でも非常に軽いので、持ち歩いていても邪魔にはならないかな。
朝、駅までチャリをかっ飛ばし、南甲府駅で休日乗り放題きっぷ(2600円)を購入して、725発の富士行きのワンマン313系を待ちます。
その時、何か手に持っていない物を感じました。竿は持ってるけど、クーラーを持ってくるのを忘れているのです。クーラーの中には釣り餌も入っています。家を出る時は持っていたのに、ここには無いってことはチャリの前かごに置きっぱなしか?
「こりゃいかん、取りに行かねばッ」
と思ったけど、もう電車が来てしまった。こんなことで今更予定を狂わすわけにもいかない。仕方なく電車に乗り込み、乗り換えの富士駅で携帯で家に電話し、家の者に駅までクーラーを持ちに来てもらうことにした。旅にアクシデントはつきものですけど、初っ端からボケをかましている自分に呆れながら、これからどうするのか考えます。
「こうなれば現地調達しか道は無し…」
そんなことを駅のホームで思案しながら電車を待っていたら、こんな会話が聞こえてきました。
「先頭車には乗りたくないしなあ」
福知山での事故のことでしょう。うーん、あれだけの事故でしたから、まだまだ後遺症は当分続きそうですね。
富士駅のホームで駅弁を購入するのも今回の旅で楽しみにしていたことの一つ。今日は富陽軒の「竹取物語」を購入。割と評判が良く、以前から試してみたかったお弁当でした。
さて、ここから島田行きの113系3両編成に乗ったわけですが、これが非常に混んでいました。しばし静岡に到着するまでもみくちゃにされながら辛抱。静岡を出たら普段通りの車内でした。せめてこんな時くらいは増し車両を連結するくらいの融通は利かせてほしいと思った瞬間。
電車は用宗駅で下車し、ここからはいよいよ散策に入ります。一旦用宗港の方へ出て、そこから海岸伝いに歩いて行きます。気持ちのいい潮風に乗って、近くからバーベキューのいい香りも漂ってきました。近くには軽食屋や、しらすなどの土産物屋が営業していました。
JR用宗(もちむね)駅と、台風のテレビ中継でお馴染みの用宗海岸。
遠くに見える港が用宗港です。
しばらく海岸を大崩海岸へ向けて歩いていると道が国道へと合流し、ここで歩道が無くなってしまいました。いちおう白線は引いてあるけど、歩道と車道とを区別している線とは到底思えません。クネクネとカーブが多くて見通しも悪く、周りが崖ばかりで歩いて行くには危険すぎるというか、歩くようには作られていないと言った方がいいかも知れません。
これが問題の国道です。極端に歩道が狭い。東海道本線はここからトンネルに入ります。
この先、国道は海上を迂回するように走っていました。
ここでどうしようか迷う。歩道も無いのにあんな海の上を歩くかどうかを…。
第一なぜあんなふうに道を作ったのかが不思議です。地形的な問題があるのだろうか…と思い、ふと山の方を見てみると、道路が土砂で埋まっていました。なるほど、土砂崩れで道路が埋没したらしい…。
大きく山道を迂回するように国道が造られています。旧道は土砂に埋まったまま。
土砂崩れの犠牲になった人も居たとか居ないとか…。
よく見ると旧道の下に猫の額ほどの岸がありました。ここを通ってやり過ごせないかと考えました。しかし上を見上げると大崩れの名に相応しく、今にも岩が落下してきそうな崖です。岸は狭くて波しぶきが迫って来るし、スリル満点ですよ。
↓の写真左は焼津方向、右が静岡方向を向いての写真です。
ここで男性一人が土砂崩れの犠牲になったそうな…。
あなたならここを通り抜ける自信ありますか?
何とか無事に渡って来れましたが、今度は海岸から道路に這い上がる道がありません。
しかし、誰が造ったのか、粗末なハシゴが掛けてあったので、藁にもすがる思いでそれを利用させてもらいました。
神の救いか! 木材と鉄クズを縄でくくっただけの粗末なハシゴが有り難かったです。
ポキッとハシゴが折れそうで怖いですけど…。
ハシゴを登り切ると、被災した洞門が口を開けて次の獲物を待っていました。
さあ、第一の難所を無事クリア出来たのはいいのですが、さっそく第二の難関が現れます。今度は長いトンネルが行く手を阻むのです。
ただでさえ狭い道が更に狭くなり、センターラインしかない狭いトンネルの中を車が右へ左へと行き交う脇を歩くのです。しかも直線ではないので見通しが悪く、見落とされたら私はあの世行きです。
幅が狭いので、対向車があると車は私のスレスレを走るので、もう生きた心地がしませんでした。車が途切れてはダッシュ、途切れてはダッシュを繰り返してようやく脱出しました。
恐怖に怯えながらトンネルを抜けると、いよいよ山深い山中という景色になってきました。
街灯は一つも無いので、夜中は笹子峠の時のように真っ暗であろうと思いました。やがて右手の方に山から木材を運搬するためのワイヤーリフトが見えてきました。それを写真に撮ったら変なものが写っていたので拡大してみました。これは何だろう…。
写真1の茂みから不自然に青白い煙が立ち上がっていませんか? もちろんこんな所では何も燃えていません。 更に写真1の真ん中付近の木陰に停まっているのは小鳥なのでしょうか? かなり無理のある停まり方にも見えます。 右上と左下の写真が拡大写真です。 |
急カーブや、車が脇を通過するたびにオドオドしながら前進していましたが、ようやく落ち着けそうな場所に辿り着きました。
こんな寂しい場所に喫茶店? しかも営業中。
更にその先には、崖が転んで壁だけが残された家がありました。崖の下は産廃処理場にされている模様…。
風景に溶け込んでしまって妙な佇まいです。
更にこの先に行くと、右側から山へつづく脇道が現れました。
コンクリで固められているのはここだけ。この先は草ボーボーです。しかし、ここを登った場所からの景色はこの通り絶景でした。出発地点の用宗港がもうあんなに遠くです。
ここらは急カーブの連続で、歩く方は恐怖です。対向車が無いのを見計らってダッシュで走り抜けます。暴走車も珍しくありませんので恐怖の連続です。
一瞬見落としそうでしたが、カーブの路肩に花が添えられていました。誰かが亡くなったのでしょう。
(-人-)なむなむ…
やっと焼津市です。先は長い…。
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