大寒波の九州! ぐるっと一周2006〜

5日目(1月7日)

別府〜京都


朝の5時過ぎくらいから意識が戻り、ベッドでしばらくマドロんでいると、前日滑り止めのつもりで仕掛けておいた目覚ましが大音量で鳴った。そろそろ鳴ると意識していてもこれほど大きな音が鳴るとビビってしまいます。

まだ眠いけど、時間なので起床。テレビをつけて、朝のニュースを見ながら身支度を始めました。
しばらくして、テレビから気になるフレーズが聞こえてきた。


「今朝未明、ジェイアール下関駅の…」


ジェイアールとか駅とか鉄道とかいうキーワードにはとっさに反応してしまう自分。その瞬間、私は小さなテレビの画面に釘付けになった。



下関駅火災を伝えるニュースのVTR(ホテルのテレビにて)


下関駅構内の下関乗務員センターから出火ということでした。どうも火は木造の駅舎にまで延焼した模様。映像はその模様を克明に映し出していました。
架線への送電はストップ、列車はもちろん運休です。迂回路なんてありません。途端に色んな考えが交錯します。


復旧はいつになるんだろう。つか、今日夜行バスを予約してあるから、タクシーや新幹線使ってでも下関を突破しなくちゃならない。とりあえず下関まで行けば何か出てる可能性はあるかもなあ。あ、18きっぷが使えるのあと1回きりだったなあ。今日下関から先に行けなかったらヤバいじゃん。あ、そういや下関駅舎って築何年なんだろう。っつか…


「呑気にカメラ回してないでバケツの一つでも提げて火を消しに行ってくれっちゅーねん」


とにかく行動を起こさなくては話にならない。

少なくとも下関の手前まで列車が通っていることだけは確かです。ホテルを630にチェックアウトし、別府駅へと向かいます。

ちょうど駅構内の土産物屋が早くも店を始めたようでした。昨日、姉と姪っ子へのお土産を買いそびれたのを思い出し、ここで調達しておことにしました。迷った挙句、カボスくんマスコット耳かきと博多限定ハローキティのファスナーマスコット(キティがめんたいこに抱きついてるパターン)を購入し、レジを済ませて改札へ。18きっぷを見せると駅員に呼び止められた。


「どちらまで行かれますか? 北の方へ向かわれますか?」


はいと答えると、例の火災で列車が下関で止まっていることを告げられた。ただし、新幹線は走っているし、代行バスも出ているということなので、完全に通せんぼ、ということは無さそうだ。とりあえず安心です。



キオスクのシャッターはムツゴロウ?(別府駅構内)


別府701発の普通列車4620M815系2両編成の赤い電車に乗車。
今日は九州内での下車予定はいよいよ残り一駅のみ。中山香に下りればおしまいです。

移動途中で雪が降り始め、先の方に行くにつれて積雪がどんどん多くなってきます。同じ平野部でも地域で随分積もり方が違うようです。


列車が本日最初で最後の目的地、中山香に着くと、雪はすでに止み、積雪も思ったほど大したことはありませんでした。



JR 中山香駅


ここで列車は特急通過待ちのため15分も停車します。
せっかく長時間停車する珍名駅、その時間を利用しない手はありません。ここで下車して駅の写真などを撮っておこうという計画です。

しかしこちらもなかなか立派な駅舎です。平野部で瓦屋根の懐かしい雰囲気のある駅舎というのはちょっと珍しい。駅員もちゃんと居ます。九州地区にはこのテの瓦屋根の駅舎がまだまだ多く存在することが分かった今回の旅でした。次に来る時もこのまま残っていてほしいと思います。

15分という限られた時間の中での下車なので、駅前を散歩という訳にはいかないので、適当に切り上げて列車に戻ります。このまま4620Mを終点の柳ヶ浦まで乗車し、柳ヶ浦で当駅始発の各駅停車に乗り継ぎます。


柳ヶ浦着が806、始発の2532Mが814。この間8分の乗り換え時間があります。
小倉方面へ向かう車両の入線はまだだし、入線してから車内で発車時間が来るまで待っているのも退屈なので、まあ、あまり時間は無いのですが、外に出ることにしました。この辺りのフッワークの軽さが18きっぷの強みです。



JR 柳ヶ浦駅


駅前は商店と宅地が混在する住宅街のど真ん中という感じです。駅の裏手は田園風景が広がっていたため、その激しいギャップが面白かったです。
駅舎は新築された立派なものでしたが、駅名標を木陰の見にくい場所に設置したのはなぜなのかが気になります。駅という存在感が無くなると、まるっきり町役場の建物です。駅名標を掲げる位置は一考する必要があるように思えますね。


駅のホームに戻ると、門司港行き2532Mが出発時間を待っている状態でした。
415系のオールロングシート車。延岡〜佐伯間ではデッキ付き洗面台付きの急行形クロスシート車だったというのに…。

同じ日豊本線でも場所が変わると設備も随分変わるようで…。やっぱ列車は田舎であればあるほど不便になるぶん設備は格段に良くなる傾向にあるようです。
これでは満足に景色を眺める訳にもいかず、あとは寝るしかありません。疲れも手伝って熟睡モード、気がついたら行橋です。このあたりまで来ると車内は常に混雑状態で、眠くても目を閉じる程度しか出来ず、ちょっと熟睡という訳にはいきません。


さて、小倉まで来ました。
ここが駅構内で九州のお土産を買える最後のターミナル駅。本日最後のお土産購入タイムということで、小倉で一度列車を降り、駅の売店でお土産を購入しておくことにします。

まずは駅弁から。いろいろあって迷ったものの、ウニ系が好きな私の選んだ弁当はやはり「うにめし」1050円。あと何か
せめて一点購入しておきたいと思うものの、コレといったものがない。仕方ないので、高価なので今まで敬遠していた「辛子明太子」に決め、自分用のお土産として安い「フグ茶漬け」を購入しました。


買い物を終え、いよいよ本日最大の難所、下関へいよいよ出陣。
下関行き普通列車に乗車します。小倉〜門司間は経路が複雑な上、列車本数が多くて今自分が何に乗っているのか訳分かりまへん。

駅の構内放送によると、本日直接下関まで行くすべての列車は門司行きに変更となったと言っています。つまり、この列車も門司止まりという訳だ。ま、仕方ないので、とりあえずこの列車で終点の門司まで行くこととします。

車内で放送に聞き入ります。下関へお越しのお客様は門司で門司港行きに乗り換え、門司港駅で代行バスをご利用下さい、ということです。門司で列車を降り、このあとやって来る門司港行き普通列車に乗り換えます。



門司駅ホームから見える駅前風景

門司港駅で下車。
以前門司港駅で降りたのが、「おめでとう21世紀」の横断幕が掲げられた2001年だったので、五年ぶりに降りた門司港駅ということになります。
しかし今回は代行バスに乗らなければならないし、バスの出る本数も時間も不明なので急がなければならず、駅構内の探検は止め、見たかった正面口へも行かずに、脇道を通って代行バスのりばへとひたすら急いだ。

門司港駅改札では駅員の配備を増員し、代行バス乗り換え専用改札口を増設して、拡声器を使って利用客の誘導に追われていました。



門司港駅で出発を待つ下関駅行き代行バス(JR九州)


私が乗ると、まもなくバスは発車。下関駅の駅弁「ふくめし」の絵柄と同じ顔をした関門トンネルを通ります。ちょうど口がトンネルの入り口になっていました。列車では7分で着く下関駅ですが、バスでは20分以上掛かった。



下関駅へ通じる地下道でしょうか。(下関駅前ターミナル)


下関駅に着くと、機械が焼けたような、きな臭いニオイがし、焦げた大きな塊がありました。あれが下関駅らしい。

駅前の歩道橋に野次馬が大勢集まり、携帯のオモテを焼けた駅の方へかざして写真を撮っている人が沢山居ます。遠くから見ていると何かの変な宗教の儀式のようです。報道陣、パトカー、消防車、JRの誘導員ら一同が集まり、お祭りのようでした。


  

  
クリック出来る画像は写真を拡大して見ることも出来ます。


どうやら下関からは、JR九州の代行バスからJR西日本の代行バスへ乗り継ぎとなるようです。
しかも行き先が山陰本線方面行き、山陽本線方面行き、門司港方面行きと、それぞれ分かれています。やはりこの手の行事に慣れていないためか、今まで色んな場所で誘導員を見てきましたが、こちらはバスへの誘導がすこぶるヘタです…。
こんなに人が居るのに声を出す人が全然居ないというか、わざわざ客一人一人がのりばを聴かないと、どのバスに乗ればいいのか全然わからない。コミケの大規模な一般参加者のボランティア誘導には遥かに及ばないといったところでした。



客のバス誘導に携わるJR職員 (下関駅/バス車中にて)


バスに乗車して10分ほど経過したでしょうか。なかなか出発しようとしないバスに苛立ったオッサンが「早く出せ!」と罵声を浴びせる。
○○方面からの代行バスの接続を待って発車しますので今しばらくお待ち下さいと職員は説明した。

まだこの時点では一般には「西の不祥事による火災」との認識が強かったのかもしれませんが、混雑する乗り合いバスで大声出されるのは不愉快極まりない。しかも足が不自由だからと私が席を譲ってやったオッサンまで座ってブツブツ文句言ってる始末。タダで乗ってるクセにそんなに急ぐのならタクシーでも使ってくれと言いたかった。


さあ、ようやくバスが発車したのはいいのですが、どうやら隣りの駅に行けば電車が通っているという訳ではないらしい。
実は途中の小月駅まで送電がストップしているのです。そんな訳で電気が止まっている駅をバスでわざわざ一つ一つ回っていこうという訳なのです。私がこの事実を知ったのは小月に着いた後でした。下関駅ではそんな説明無かったし…。勘違いした乗客が一人降りて、電車が走っていない事情を知って慌ててバスに戻ってきた。どうりで誰も降りようとしない訳だ…。
そんなら小月急行バスとか設定してくれても良さそうなのだが…。


長府駅でも火災の影響で利用客が混乱。(代行バス車中にて)


バスは幡生−新下関−長府−小月と停車。
一駅当たりの所要時間が10〜15分程度。新下関あたりで長丁場を予感した私でした。本来の予定では小月発1052だった筈が、予想外の代行バスの温情停車で大幅に遅れ、小月に着いたのが1220。
門司港をバスで出てから既に2時間が経過していました。



JR 小月駅


小月で一旦家に電話し、今日高速バスに乗って家に向かえるかどうかわからないことを念のため伝えておき、広島方面へ向かう電車を待ちます。
小月駅のホームには、火災の影響で動けなくなった寝台特急がそのままの状態で立ち往生していました。



下関駅火災の影響で停まったままの寝台特急「なは、あかつき」


しばらくして、遅れていた1223発の岡山行き3364Mが到着。115系の4両編成。下の写真は下関方を撮ったもので普通の115系ですが、岡山方のクハ(115−192)は前灯がデカ目でした。
しばらく停車ののち、20分ほど遅れての発車です。



115系 (小月駅にて)


この電車は途中の徳山で快速シティライナーとなり、岩国〜瀬野間は快速運転となります。
このまま行くと岡山到着が1835で、京都からの夜行バスには余裕で間に合いそうですが、旅行初日に新大阪駅で目星をつけておいたお土産が買えるかどうかはかなり微妙です。
しばらくは電車を乗り降りする手間も無く、列車が極端に混んでいるわけでもないのですが、まだまだこれから長い戦いとなります。新山口を過ぎた辺りでお腹も空いてきたので、小倉で買っておいた駅弁でも召し上がることにしました。



うにめし 1050円(小倉駅)


この弁当の目玉はやはりうにめし。
「うにめし」と命名しただけあってこの味は最高に良かったです。おかずはそれぞれ標準的な味付けでしたが、比較的「れんこん」の味付けは好み。もっとコンパクトにまとめて価格が850円〜900円なら100点を付けたかったけど、個人的にはおすすめ。しかしちょっと見た目展開が幕の内系で地味な気もする…惜しい。総合評価80点。

…などと勝手に駅弁つつきながら独り品評なんぞを行っていました。


途中の大道駅でまたまたブルートレインが立ち往生しているのを発見。今度は「富士、はやぶさ」のようです。乗車キャンセルで返金はされたのでしょうか…気になります。

長い時間列車に乗っていると、些細なことでも一喜一憂。

…戸田駅(へたえき)名前は変だけど車内から見た感じ、なかなかいい木造駅舎。

…徳山駅、列車入線メロディに東日本の発車メロディを使ってた。


…徳山では乗務員が交代。ベテラン車掌に付き添われて、新人車掌の初乗務でしょうか…。萌え車掌だ!
メチャ若くて小さい女性車掌さんです。まるで小学高学年くらいの女の子に西車掌のコス着せたような外見で、深々と頭を下げて挨拶し、初々しく車内巡回。電車の揺れにヨロめく姿に☆激萌えッ☆ 付き添い車掌も鼻の下伸びっ放しです。
…でも岩国で乗務終了して降りちゃった。


島田駅付近から激しい雪。駅に停車して扉が開くと同時に雪がビュオーッと舞い込んできて、扉付近の座席に座っている客の服に雪がベットリと貼りついた。瀬戸内の駅でこんな光景が見れるとはね…。

途中の福山で快速サンライナーの発車待ち合わせで長時間停車。せっかくなのでサンライナーを拾うことにします。快速サンライナーは名車117系、乗らない手はありません。



117系で走る快速電車 サンライナー(福山〜岡山)


途中でサンライナーを使ったため、当初の予定の1835より15分早く、1820に着きました。しかし、かと言ってこの先姫路まで行く電車は56分まで無いので、あまり意味が無かった。
仕方ないので岡山駅の売店や、周辺を散歩することにしました。岡山駅は広くてお土産を扱う売店が多く、待合所も広く設けられていて、自分としては好きな駅。まだまだ知らない側面も多いので、いい機会です。



JR 岡山駅


そうは言っても新宿駅にも匹敵する超広い岡山駅内外を20分程度で冒険なんぞ出来る筈もなく、すぐさま駅に戻って10番のりばへと急いだのでした。

10番のりばには、姫路行きの115系1332Mが既に入線しています。乗車するとすぐの発車です。今日は疲れた。時折車内でウトウト…。


姫路では新快速223系に乗り換え。野洲行きが3分の接続です。
平日ですと、ここで新快速は13分の待ち合わせとなるはずだったので、今日が休日でよかった。しかしこのままで行くと、時刻は大阪に着く頃には21時を回ってしまいます。とても売店が開いているとは思えない。ここは可能性を考え、手前の神戸で降りることにします。神戸着が20時56分。20時閉店も考えられますが、21時に売店が閉まるとすれば、ギリギリ開いている可能性も僅かですがあります。


神戸到着と同時にダッシュし、改札を抜けます。蛍の光のメロディが聞こえますが、売店内にはまだ人の姿がチラホラ…。急いで売店に入って目的のチーズケーキを買ってきた。ギリギリセーフでした。しかし、たったこれっぽっちのチーズケーキが1800円か…かなり冒険です。これで全然うまくなかったら詐欺だな…。


これで全ての買い物終了。再び改札を潜ってホームへ向かいます。
階段付近で少年がレジ袋にゲロしていた。電車に酔ったのだろうか。最近の車両はブレーキ性能が良すぎるからなあ…。


神戸から再び新快速を拾います。土日運転の2116発米原行き3314M。これに乗り、京都まで行きます。待つ間寒いので待合室に籠ってチラシを眺めていると、やがて列車接近チャイムが鳴り響いた。


京都に2208着。夜行バスの時間まで40分以上あります。それなら近くで開いている飯屋でもあれば入ろうと思い、見つけたのが吉牛。他に開いていそうな店もコレといって見当たらず、そこに入ることにした。
利用するのはまだ2度目です。ぶた丼大盛り480円は貧乏旅行の締めくくりにおあつらえ向きでしょう。

時間はあるのでゆっくりくつろぎ、そろそろ…といったところで精算し、おいとまする。
余った時間は近鉄のきっぷうりばで待った。こんな時間でも案外人がいるのが不思議だった。


バスの時間が近づくと、バス停には結構人がいます。しかも女性率高い。夜行列車は男性率が高いのに、窮屈な高速バスには女性率が高いというのは面白いデータ。何故なのだろうか…。
やがて雪がちらついてきました。それとほぼ同時に甲府行きクリスタルライナーが到着。リュックは邪魔になるので下のトランクに預け、お土産だけ持って車内に入った。


バスは発車し、しばらくして室内灯が消え、予備灯だけとなった。

途中でトイレに入ろうとしたのですが、戸を閉めたら真っ暗ではないか。なにせ初めてなので、トイレの室内灯が何処にあるのか分からず適当にボタンを押していたら水洗ボタンだった。
表示は列車のトイレのように見やすくハッキリ表示していただきたかった。


6日目(1月8日)


バスの走行中はなかなか寝られず…。リクライニングが倒れるのはいいのですが、膝元が冷たくて、備品の毛布を掛けても寝られない。窓ガラスには水滴が付いていて、それが凍りついていました。


夜も明けきらない6時30分甲府に到着。外は激寒。バスを降り、白い息を吐きながら駅に向かい、南甲府までのきっぷを購入。こんなに寒いのに、駅のコンコースに寝袋に包まって寝ている人が数人…見上げた根性です。


甲府から649発の313系の普通列車の富士行き3624Gに乗車し、南甲府下車。歩いて家路へ。帰宅後すぐに寝たのは言うまでもありません。



おわり