元夫のルーツ

  私はもう籍を抜けていたけど、元夫側の悪因縁のルーツを知りたかった。仏教の教えの確認と息子たちの今後
 に不幸を避けるために。祖祖父のことで判っていることは県名と祖祖父の名前、お城でお馬番だったということだけ。
  区役所で調べている時たまたま「そこの村長さんが来ています」というので東京に居ながら電話でお話が出来た。

 「その苗字は二か所墓所があるから私が車で案内しますよ」なんともラッキーな展開になった。

 小高い丘に登ってすぐ村長さんの先祖のお墓があり、そのそばにかなり古いお墓がある。
 周りを見ても他にこんな古いお墓はないので、過去帳を調べて貰おうとお寺さんに寄ると、住職がお留守で奥様が
 「本当は見せられないんだけど遠くから来られたし」と、奥でだいぶ時間をかけて探してくださった。
 他の人の名をハンカチで隠して見せて頂くと、確かにその人の名前があったが「妻」の名がなかった。
 以前、元夫側の長兄の奥様が「同じお墓に入りたくない」と言っていたことを思い出す。
  墓地に戻り、次男と共に掃除中 村長さんが夫婦で、山からの清水を汲んで手伝って下さった。
 若い和尚様が出先から戻られたので、お経も上げて頂いたらとりあえずほっとした。 
  石の台座は角がほとんど欠けて苔が生えている。墓石も線香を置く台も後ろが崖に近いので、
 自然災害で根元から転げ落ちたのかもしれない。墓石は下の方に深くひびが入っている。
  線香台は角が完全に取れて枕のようで、へこみが下になって置かれていた。
 二リットルのペットボトルに誰かが花を分けてくれたような形跡もあった。
 彼岸もお盆も周りは花が飾られるのに、何十年も誰も来ない古いお墓。周りの人が気を使ってくださったようだ。
、あの状態で置いたら本当によくないので、どうしたらみんなに伝えられるのだろうと悩んだ。
、籍が抜けているのに、仏教の教えに縁のない人には余計なお世話でしかない話。
  差し出がましい話をするのも気が引けるし、と考えていたら義妹から「次兄がなくなった」と電話をくれた。
 そのおかげで全員集まるところに出席することができ、長兄が話しやすく前もって趣旨を簡単に説明までしてくれた。
  その結果、長兄の娘さんから「長男が生まれたばかりで気になるので」とご主人と三人でお参りに行ってくれたようだ。
 良かった、と胸をなでおろしたが、そのお墓に関する書類が長兄に渡り、奥さんがこちらに返送。
  処分するわけにもいかず、そのままになっている。その間に兄弟は義妹ひとりになってしまった。
  先祖を守っていくべき人が無頓着な場合はどうしようもないと考えるしかないですよね。
 因縁は孫・ひ孫・夜叉孫といつまでも続いていくのでこの文章で、一人でも多く早く気付いてほしいと思います。
 私の立場ではこれくらいしか言えないので。


  でもそんな遠い過去でなくても、自分の考えで普通におこなったこと、言ったこと、心で思っていたことが
 相手を傷つけていたことに 気がつかないでいる現世での過去の業もあるかもしれない。
  毎朝必ず見ているテレビ番組で、気象予報士の方の雰囲気がとても穏やかで優しいのを見て
 私も真似してみようと思っている。立派な方なのにあれだけ腰を低くして話されるのはすごいなと思う。
 普段からあのように人に接していれば、相手に不愉快な思いをさせないで済む。
  無駄に忙しすぎの生涯だった。今本来のわたし自身に戻れている気がする。
 ようやく落ち着いて考えるゆとりを持てるようになった。

  長男はカモメの行きかう海の近く、後ろには山、穏やかな環境で守られて生きている。
 毎月本人の顔写真・お便りも丁寧に書いて送ってくれる。
 私が、バブル崩壊、リーマンショック、詐欺にもあって、固定した給料もない仕事で家賃も払えない生活の中でも
、長男は何の影響も受けず何の心配もいらなかった。
 私見として単純に考えれば、長男は過去に徳があり、現世で平和に生きる権利を与えられているのかなとさえ思う。今更

 何をかいわんや、単なる気休めです。





  令和三年九月九日、元夫の榊は今日も元気。天井を向いていた新葉は少し痩せたがそれでも頭を持ち上げている
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