鉄道写真いろいろ@エムサ菌総合研究所
相模鉄道厚木線 体験乗車記

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 皆様は、神奈川県東部で鉄道事業を展開している相模鉄道に、“厚木線”なる路線があることをご存知でしょうか?
 相鉄本線やいずみ野線とは異なり旅客営業を行わない貨物線であるため、鉄道好きはともかくとして一般の相鉄線利用者にはあまり知られていないのではないかと思うのですが、厚木線は、本線・横浜起点23.8Km地点にある“相模国分信号所”より分岐し厚木駅に至る延長2.2qの路線で、現在の相模鉄道の前身である神中鉄道が1926年に最初に開業した、由緒ある区間の一部なのです。
 開業当初は旅客営業を行っていたものの、相模国分信号所〜海老名間が開業した1941年以降は貨物線として使われました。  1998年に米軍厚木基地への航空燃料輸送が終了したことで、貨物線としての役割もなくなってしまいましたが、1990年より厚木操車場 (厚木駅のすぐ手前に隣ある旧貨物ヤードで、線路終端はJR厚木駅に隣接している) で電車の夜間留置を行っており、現在でも毎日早朝・深夜に定期回送列車が走っています。  役割こそ変われど、れっきとした現役の鉄道路線であることには変わりありません。

 そんな厚木線で、2015年8月23日に『相鉄厚木線 乗車体験会』と称したイベントが開催されました。
 同様のイベントは過去何度か開催されていたようですが、これまでは親子を対象とした事前応募制で、単なる鉄道好きが参加する余地はありませんでした。  それが今回は、臨時列車でかしわ台〜厚木操車場間を往復するだけとはいえ、事前の応募など必要なく、親子連れでなくても当日有効の一日乗車券を持っていれば誰でも参加できる、しかも臨時列車は1日3往復運転される (一日乗車券1枚に付き1往復のみ有効) と、参加に対してのハードルが極めて低いものとなっておりました。  開催を知った瞬間から、こんな滅多にない機会は逃せない、万難を排して乗りに行きたい・・・ と思ったのでした。  そして友人で私鉄派のI田氏にメールで持ちかけてみたところ、即「ぜひ行きたい」という返信があり、一緒に出掛けることにしたのです。

 このページでは、私が体験乗車会の際に撮った画像を貼っていきます。  ただし、後述する理由により画像の色味を修正したものの、今一つな感があります。  また、動画ではないので臨場感もあまり感じられないかもしれませんが、お楽しみ頂ければ幸いです。

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 イベント当日は、私が京急線経由で、I田氏は東横線経由で、それぞれ横浜入りにすることとなったため、順当に横浜駅で合流し相鉄線に乗り込みました。
 乗車体験会は3回実施され、一日乗車券1枚で臨時列車の乗車は1回限りということだったので、焦らなくても間違いなく乗れるだろうと思われたのですが、一日乗車券を有効に使うことを考えた結果1本目の臨時列車に乗ることにし、それに間に合うようにかしわ台駅に向かったのでした。
 I田氏はこのイベントについて私が送ったメールを“ケタ氏”に転送していて、彼も来るだろうけれど具体的な打ち合わせは何もしていないし、彼が当日どう動くのかの予定も聞いていない・・・ ということだったので、途中で合流できればラッキー程度で考えていましたが、かしわ台到着直後に半ば偶然に合流することができたので、3人で行動を共にすることとなりました。

 1回目の車両は11000系で、私たちがかしわ台に着いた時点 (臨時列車の発車30分ほど前) には既にかしわ台駅2番線に据え付けられておりました。  私が乗ったことない形式だったのですが、ガラスが緑がかった色をしていて、眺望にちょっと水を差されてしまうなぁと思いました。  マニア的には7000系だったら最高でしたが、企画・運転サイドにとってはたくさんの人が集まるかもしれない臨時列車に8両編成を充当するのはきっと許されなかったのでしょう (臨時列車1列車あたりの乗車定員は600人と案内されていた)
 とりあえずモーター付きの車両に乗ることにし、それ以外は特に何も考えずに、横浜方2両目だったかの乗車列に並びました。  その時点で並んでたのは、1両あたり50人くらいだったでしょうか? 親子連れが半分、大人連れ&大人単独がもう半分というような感じでした。
 乗車口で改札を受けて (体験乗車に参加したことを示すと思しき、そうにゃんのスタンプを一日乗車券券面に入れられて) 乗り込むと、空席がまだいくつかありました。  しかし座ってしまうと見られる景色が限られてしまうので、往路は進行方向右側のドア付近に立ち、海側の景色を楽しむことにしたのです。

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2015.8.23 かしわ台(厚木線乗車体験会車内より)

 11時05分、厚木操車場行きの臨時列車が、定刻にかしわ台を出発しました。
 走行中の車内では、放送で厚木線の沿革などの案内がされましたが、車内放送で『厚木線』『相模国分』という名前を聞くことなどあり得ず、連呼した車掌さんにとっても貴重な体験だったのではないでしょうか?

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2015.8.23 相模国分信号所付近(厚木線乗車体験会車内より)

 しばらくは営業列車並の速度で走りますが、やがて大きく速度を落とします。  相模国分信号所にある本線から厚木線に入るための分岐器の曲線半径が、常用される待避線や渡り線の分岐器と違ってかなり小さいのでしょうか?
 画像の右下に、海老名方面へ向かう下り線が写っています。

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2015.8.23 相模国分信号所付近(厚木線乗車体験会車内より)

 ゆっくりと踏切を通過する。 踏切待ちのドライバーの視線を感じるところです。

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(4枚とも)2015.8.23 相模国分信号所付近(厚木線乗車体験会車内より)

 海老名に向かって左にカーブを切りながら勾配を下って行く本線とは、左右方向とともに上下方向にも少しずつ離れていきます。

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2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 本線と別れるとすぐに、小田急小田原線をオーバークロスします。

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2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 小田急をオーバークロスして踏切を過ぎると、進行方向左の車窓が一気に開けます。
 手前には小田急電鉄の車両基地が、その奥に海老名駅前の街並みが広がっています。

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(4枚とも)2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 私は相鉄沿線で育ったものの海老名まで行く機会はほとんどなく、行ったとしても小田急線やJR相模線に乗り換えるためでしかなかったので、街並みの記憶は無いのですが、かといってこんなに街らしい街が広がっていたような印象もありませんでした。
 そして小田急もステンレス車が増えましたねぇ。 2600形や4000形、5000形、NSE車が走り回っていた頃の記憶しかない私にとっては、なんだか知らない場所に来たような錯覚に襲われます。
 地図を見ればわかるようなことですが、相鉄本線と厚木線が小田急の車両基地を挟み込むように伸びているということを実感できたひと時でした。

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2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 海老名の街並みが遠ざかるにつれて、沿線には畑が広がります。

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2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 さらに進んで厚木駅が近くなると、いかにも最近開発されたような住宅街が広がってきます。
 このあたり、とくに海老名駅圏は東京都心・横浜からの距離や足場は決して悪くないはずで、むしろ駅からバスを使わなければならなかったり小田急線をもっと下ったエリアよりも早くに宅地化が進み、既に成熟しきった住宅街が広がっていても何ら不思議ではないのですが、必ずしもそのようにはなっていません。
 海老名駅の正面が小田急線の線路を挟んだ所にあり、もともとJRの海老名駅がなかったことを考えると、やはり“駅の裏”が故にこのような結果となったのでしょうか?

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2015.8.23 厚木操車場付近(厚木線乗車体験会車内より)

 車窓に学校が見えると、いよいよ厚木操車場です。 どこかで聞いた話ですが、厚木操車場の手前のカーブが相鉄全線で最も急だそうです。 具体的な数字まではわからないのですが・・・。

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2015.8.23 厚木操車場付近(厚木線乗車体験会車内より)

 厚木操車場の建屋の前で、従業員2名が出迎えてくれました。  出迎え・見送りと言えば、往路の相模国分信号所通過時と復路の厚木操車場発車時に“そうにゃんの着ぐるみ”が出動していましたが、どちらも進行方向右側で、カメラに収めることはできませんでした。
 それより私は、建屋の入り口左手に掲げられた『相模鉄道 厚木操車場』のプレートに興味津々でございます。

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2015.8.23 11000系車内

 臨時列車1本目に充当された11000系の車内案内表示は、ご覧のとおりでした。  かしわ台発車前は、片方の画面で乗車マナー啓発の動画が流れていました。

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2015.8.23 厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 厚木操車場での10分ほどの折り返しの間に、往路とは逆側・・・ すなわち山側のドア付近に移動しました。  その時、相模線・茅ケ崎行きが駆け抜けて行きました。 この少し前には橋本行きの相模線が通りかかったのですが、どちらも帯の色が褪せ、車体は薄汚れていました。

 ちなみに、私が乗った車両からは厚木操車場に留置車があったようには見えなかったので、操車場停車中に海側を撮るのをすっかり忘れておりました。 ちょっと、不覚でした。

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2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 厚木操車場を出発、かしわ台へと戻ります。
 厚木線内では、撮影に来ていた人を数十人見ました。 現行ダイヤでは日中に厚木線を走る定期列車がないそうで、乗るのもそうですが走行シーンを撮るのも貴重な機会だったようです。

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2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 相模線の向こうには、田んぼが広がっています。
 そういえば以前、鶴見区民の友人が相鉄沿線の自宅に遊びに来た時、車窓から田んぼや畑が見えたと感動していたのを思い出しました。

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2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 JR海老名駅の脇を通過。 ここのホームにも、撮影に来ている人が何人か見られました。

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2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 まさか海老名に“ららぽーと”ができるとは・・・。

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2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 ふと海側を見ると、小田急海老名車両基地に30000系“EXE”が入っていました。 なんとか撮った1枚。

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2015.8.23 相模国分信号所−厚木操車場(厚木線乗車体験会車内より)

 相模国分信号所が近付くと再び低速で進行し、踏切待ちの人々の刺すような視線を浴びます。

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2015.8.23 相模国分信号所付近(厚木線乗車体験会車内より)

 相模国分信号所では、駅長さん (助役かもしれない) の出迎えがあったほか、厚木線の0キロポストも見たのですが、どちらも撮れませんでした。 残念。

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2015.8.23 相模国分信号所付近(厚木線乗車体験会車内より)

 進行方向とは逆向きで斜めに撮った写真ではわからないのですが、相模国分信号所前後の踏切では、ちょっとした渋滞になっていました。  日中の厚木線はほとんど列車が走らないこと、厚木線には旅客列車が走らないことを知っている人が見たら、なんだろうと思うでしょうね。

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2015.8.23 かしわ台

 約30分という楽しい時間を終えて、かしわ台に戻ってきました。
 臨時列車に充当された11000系の側面表示器に、そうにゃんの全身バージョンが出ていたので撮ってみました。 往路の乗車前はそうにゃんの生首バージョンが表示されていましたが、フルカラーLEDだからこそできる芸当ですね。 味気ない『臨時』の表示よりも、よっぽど良いです。

 先頭車前面の行先表示も側面と同じそうにゃんになっていて、撮影しようとしたもののカメラマンが多く、また横浜方はホームが狭く光線状態も微妙だったため、マトモなものは撮れませんでした。

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 いかがでしたでしょうか?

 当日はこのあと、海老名まで行き、一旦横浜に戻ったうえで湘南台往復をして、相鉄全線完乗してきました。
 貨物線である厚木線は本来完乗のカウントには入らないと思われ、またいずみ野線も乗車経験があるので、完乗は既に果たしているのですが、いずみ中央〜湘南台間に限っては過去片道しか乗ったことがなかったので、これで晴れて全線を1往復以上したことになります。  厚木線往復がいずみ野線全線往復より先だったというのは何とも妙ではありますが・・・。
 10000系の走行写真を配した乗車記念証が配られたり、暑い日だったにもかかわらず沿線にそうにゃんや駅長さんが見送りに出ておりました。  そうにゃんに関しては、折しもエントリーしている“ゆるキャラグランプリ”の投票期間中でもあるため、それのアピールの場となりつつあるような感もなくは無かったのですが、ともあれ、体験乗車会を盛り上げようという気遣いを感じることができ、とてもうれしく思いました。 楽しく、貴重な体験でした。

 ご高覧誠にありがとうございました。

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2015.8.28 エムサ菌