鉄道写真いろいろ@エムサ菌総合研究所
旅立ち・・・西武鉄道101系

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 秩父夜祭の撮影に同行させてもらった後輩が、ついに本線系から引退する西武鉄道101系 (低運転台車) のさよなら運転の乗車に誘ってくれました。

 今回はそれほど多くの写真を撮っていない (撮れなかった) ので、 よく知らないくせにひとりごとが多くなりますが、ご容赦ください。

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 2004年12月19日、管理人は集合場所である西武園駅に向かいました。
 まず後輩一行と合流し、特設窓口で参加費用・1101円也を支払い、定期券サイズの写真入り 「イベント電車乗車証」、従業員の発案だという「乗車記念の車内補充券」、同じくきわめつけ の「行路表」のセットを受け取って、101系の待つ1番ホームへ向かいました。

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2004.12.19 モハ198 西武園

 イベント列車は、厳密には異なるツートンカラーに復元されつつ、本線系101系低運転台車として 最後まで残った、193F・197Fの8両編成です。
 ルートは、西武園〜東村山〜本川越〜西武球場前〜所沢〜飯能〜西武秩父。

 西武園駅ではホームが狭く、なおかつたくさんのカメラマンがいたので、撮影は断念 しました。 「旅立ち」の青く円いヘッドマークを付けていました。

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 沿線にはたくさんのカメラマンが出動し、101系の最後の姿をキャッチしています。 東村山では ホーム本川越方に大勢のカメラマンが、まさに「ホームからこぼれ落ちんばかりに」いて、ち ょっと怖かった・・・。

 本川越に向かう途中の新所沢で、特急レッドアローに道を譲るため停車。 にしてはずいぶん 停まるなあ・・・と思っていると、発車して間を置かずに「これより特急 レッドアローと同じダイヤで運転します」との車内放送が流れ、105km/h運転を 敢行! 中速〜高速域での加速の伸びの良さは意外で、トップスピードへの到達時間も思って いたより短く、平坦線での性能が実は良い事を知りました。特急車と同じ台車を履いているから 乗り心地は良好、併せて車掌氏が言うところの「迫力あるモーターサウンド」も楽しめました。 新 所沢での少し長い停車は、そのためだったんですね。

 本川越で折り返し、往路と同様狭山市・新所沢に停まりつつ最高105km/hで爆走、所沢で新宿線 から池袋線への連絡線 (錆びついていたが・・・) を通過、相変わらず たくさんのカメラマンの洗礼を受けながら狭山線に入り、撮影会会場である西武球場前・5番線に 到着しました。

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2004.12.19 クハ1193 車内(西武球場前)

 101系低運転台車の、客室と乗務員室の仕切りです。
 仕切り背後にイスがあり、その窓も低く大きいため、座りながらの前面展望が可能でした。 そう いえば私も、過去一度これの恩恵に与ったっけ・・・。
 座席は、背もたれと座面との間に隙間があるタイプでした。 これもまた一時期の西武車の特徴 のひとつと言えるでしょう。

 193Fは一度更新修繕が施されているようで、内装も経年を感じない「明るさ」がありました。 一 方、集合場所の西武園に向かうべく乗った新101系 (モハ246だったと記憶) の内装は暗く、「古い」という感じがどうも否めませんでした。 廃車する順序が逆ではないの か・・・? と思ったものです。

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2004.12.19 クハ1193 車内(西武球場前)

 明るく写っているのは、クハ1198。 行先表示部分が、案外出っ張っているんですね。

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2004.12.19 クハ1193 車内(西武球場前)

 クハ1193の運転台を、仕切り扉の窓越しに。
 メーターが5個並ぶパネル。このような装備は、座ったまま前面展望ができる車両ともども、最近 ではあまりお目にかかれなくなったものです。

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 西武球場前では、一般参加可能な撮影会が催されると告知されていたため、大勢のカメラマンが 集まっていました。 前頭部では、「幕回し」が祭りの状態で、とてもその中に入れるような状況 ではありませんでした。
 そこでひとまず、形式写真を撮る事にしました。

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2004.12.19 モハ194 西武球場前

 101系には旧型国電由来のAK‐3形コンプレッサーを積んでいる車両が一部ある・・・ことは 後輩から聞き知っていましたが、1両に2台積んでいるとは知らず、驚きとともに撮った写真がコレ です。
 床下がどっしりと落ち着いて、好ましいと思います。

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 一通り形式写真を撮ってから、特設会場で一足先に廃車になった175F・191Fのものらしい吊革 などを「形見分け」と称して買い、昼食後お土産の引き換えとレオカード優先購入を済ませて、祭 りが収まるのを待ちました。 その間193F・197Fは、一般参加者用の臨時電車として西所沢まで 1往復走りました。

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2004.12.19 クハ1197 西武球場前

 「幕回し」祭り状態が少し落ち着いた状態で、少しカメラマンがひけてきた隙を狙って入り込んで みました。 それでも人が多くて焦ってしまい・・・。

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2004.12.19 クハ1197 西武球場前


2004.12.19 クハ1197 西武球場前

 時間の経過とともに「幕回し」もだいぶ落ち着き、撮る側も落ち着けてきました。
 やっぱり「西武の電車」は、この顔でなおかつこの色だなあ・・・。

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2004.12.19 クハ1197ほか8両 西武球場前


2004.12.19 クハ1197 西武球場前

 発車が近づき、早くから「参加者は車内へ」と放送されつつ乗車が始まると、早々に車内に落ち 着く人が多かったようで、あるいはモーターやコンプレッサーの音を楽しみたくて場所を取った人も 多かったのでしょう、大勢が集まっていた「幕回し祭り会場」はガラ空き、まんまと正面で撮影 できました。 ィヒヒヒヒ・・・  ( だけどお尻が切れちゃったよ〜!!)

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 西武球場前を出た列車は、所沢で方向変換して飯能に向かいます。
 途中、永年この車両を整備していた小手指の車庫の横を最後の通過。 整備士たちが数名、車窓 からよく見える場所に出て、両手を振ってお見送り。
 そして、その先の博物館のような建物の前でも、そこの学芸員(館長?)と 思しきおじさんが手を振ってのお見送り。 そんな中を、モーターサウンドも軽やかに、颯爽と 走っていく・・・。 非常に印象深かったです。

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 飯能に向けて快走を続けていましたが、いつもこの区間を乗っている後輩たちが「いつもより 速くない?」と言っていたその時、急ブレーキが掛かった! バカが線路内立ち入りか、直前 横断か!? と思っていると、「列車が信号で指示されたスピードを上回ると、このように非常 ブレーキが・・・」という車内放送が、妙に穏やかな調子で流れました。 今 ( 2005年5月以降) となってはとてもできない、「101系の体を張った」デモンストレーション でした。

 デモンストレーションといえば、仏子駅通過の際に中線を通りましたが、これも恐らくそうで しょう。 新所沢・狭山市・入間市停車といい、沿線で待っている人も予想だにしていなかった事と思います。

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 さよなら運転の臨時列車というと、どうも沈みがちになりそうな車内の空気ですが、それほどでも なく、各々101系の走りを楽しんでいるようでした。
 4分停車の飯能を過ぎた山登り区間では、力走と呼ぶに相応しい走りでした。
 特にこの区間の沿線では、幼い子供と一緒に見送る家族を何組も見かけました。

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 列車は、正丸トンネル内の信号所に着きました。そこで
「列車には、停電時に備えてバッテリーを用意してあり、停電すると予備灯が点灯するように なっています・・・」
と車内放送が流れ、予告があってホントに室内灯を消した!
 走らせる側が、最後の101系に乗じて楽しんでいるようでもあり、会社側も101系に免じてこれらの 企画を通したのだと思いました。

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 旅も終わりに近づいた横瀬駅手前では、一足先に引退した175F・191Fが解体途中で置かれている のが車窓に見え、車内のあちこちから呻くような声が漏れていました。

 そして西武秩父直前、隣を走る秩父鉄道を、元国鉄「101」系である1000形が走って行きました。

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2004.12.19 クハ1194 西武秩父

 最後の営業運転、無事に西武秩父に到着しました。
 最後のお客さんを含む、たくさんのカメラマンに見送られて、何ともあっさりと、あっけなく 横瀬に回送されました。

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 横瀬に回送された8両は、そのまま現地で全車解体されたそうです。
(「低運転台車」としては、ワンマン対応改造された車両が多摩川線・多摩湖線に少数残存しています。)

 今回のさよなら運転は、言うなれば「廃車回送」を兼ねたものでもあったわけですが、それを 1101円 (101系クハのトップナンバーでもある) の参加費で、多彩なデモン ストレーションと帰りの西武線内乗車証、それにお土産までついて、1日楽しませてくれた西武鉄道 に感謝。 そして何より、乗る機会を与えてくれた後輩に、感謝。

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2008.2.28 エムサ菌